診療報酬明細書の記載要領の主な変更点

「厚労省保険局医療課長通知 保医発0326第3号」をもとに、主な変更点について愛知県保険医協会が作成した。
※ 電子計算機の場合は字句を〇で囲む場合や〇付の略号を使用する場合に、〇に代えて( )等を使用しても差し支えない。

1.「保険種別1」、「保険種別2」および「本人・家族」欄について

  • 4月以降、高齢受給者の一般・低所得者については、経過措置のために1割負担と2割負担が混在することとなるが、判別は生年月日等によって行うため、特に記載をする必要はない。

2.「届出」欄について

  • 広範囲顎骨支持型装置埋入手術の届出を行っている保険医療機関が記載する「特イ術」の項目がなくなった。
  • 在宅かかりつけ歯科診療所加算の届出を行っている場合は「在か診」、CAD/CAM冠の届出を行っている場合は「歯CAD」、歯科口腔リハビリテーション料2の届出を行っている場合は「歯リハ2」をそれぞれ○で囲む。

3.「傷病名部位」欄について

  • 複数の頬小帯に対して頬、口唇、舌小帯形成術を行った場合、部位が分かるように記載する(例:上顎左側)。なお、「傷病名部位」欄に記載できない場合は「摘要」欄に記載してもよい。

4.「管理・リハ」欄について

  • フッ化物洗口指導は、「歯管」の「+ 」欄に加算点数を記載する。
  • 周術期口腔機能管理料(Ⅰ)、周術期口腔機能管理料(Ⅱ)、周術期口腔機能管理料(Ⅲ)については、「周Ⅰ(前)」、「周Ⅱ(前)」、「周Ⅲ」はそれぞれ点数を、「周Ⅰ(後)」、「周Ⅱ(後)」は点数および回数を記載する。なお、「周Ⅰ(後)」と記入した場合は、その算定回数(○回目)を「摘要」欄に記載する。
  • 歯科口腔リハビリテーション料1(1有床義歯の場合)、歯科口腔リハビリテーション料2については、「歯リハ1」または「歯リハ2」の項に点数を記載する。なお、傷病名の部位から困難であることが判断できない場合は、「摘要」欄にその内容(例:「臼歯部のすれ違い咬合」、「対顎に総義歯を装着」)を記載する。
  • 周術期口腔機能管理計画策定料は、全体の「その他」欄への記載することとされていたが、管理・リハの「その他」欄に「周計」と表示し点数を記載することとなった。
  • 歯科治療総合医療管理料は「その他」欄に「医管」と表示し点数を記載する。
  • 「その他」欄に書ききれない場合は、全体の「その他」欄に記載する。

5.「X線・検査」欄について

  • 顎運動関連検査について、「顎運動」の項に点数に加え、回数も記載することとなった。

6.「処置・手術」欄について

  • 初期う蝕早期充填処置は「填塞」の項に、グラスアイオノマー系を用いた場合は左欄、複合レジン系を用いた場合は右欄にそれぞれ材料料を合算した点数と回数を記載する。
  • 歯髄温存療法を行った日から起算して3カ月以内に抜髄を行った場合は、「その他」欄に「抜温」と表示し、点数・回数を記載する。
  • 根管充填の際に加圧根管充填処置をあわせて行った場合は、「加圧根充」の項の上から単根管、2根管、3根管以上の順に加算点数と回数を記載する。
  • フッ化物歯面塗布処置は、「F局」の項に点数を記載する。また、「摘要」欄に「F局 前回○月実施」と記載する。
  • 有床義歯床下粘膜調整処置は、処置・手術の「その他」欄へ記載することとされていたが、「T.cond」の項に点数と回数を記載することとなった。
  • 顎炎または顎骨骨髄炎等の手術として抜歯を行い口腔内消炎手術を行う場合は、その旨および抜歯した部位を「摘要」欄へ記載することとされていたが、処置・手術の「その他」欄に記載することとなった。
  • 睡眠時無呼吸症候群の口腔内装置治療を行った場合は、「睡眠時無呼吸」と表示し、床副子、印象採得、咬合採得、装着の点数を全体の「その他」欄へ記載することとされていたが、処置・手術の「その他」欄に記載することとなった。
  • 舌接触補助床については、「舌接触補助床」と表示し、印象採得、咬合採得、装着、床副子の点数を全体の「その他」欄へ記載することとされていたが、処置・手術の「その他」欄に記載することとなった。
  • 周術期専門的口腔衛生処置は、術前・術後に応じて全体の「その他」欄へ「術口衛(前)」、「術口衛(後)」と表示し点数を記載することとされていたが、処置・手術の「その他」欄に記載することとなった。なお、「摘要」欄には、手術を行った年月日または予定年月日、手術名を記載する扱いに変更はないが、手術実施月は記載を省略できるとの規定が削除された。
  • 広範囲顎骨支持型装置掻爬術は「その他」欄に「特イ掻」と表示し、手術を行った部位、点数、回数を記載する。
  • 「その他」欄に書ききれない場合は、全体の「その他」欄に記載する。

7.「歯冠修復及び欠損補綴」欄について

  • 生活歯歯冠形成は、レジン前装金属冠・前歯の3/4冠・接着冠・CAD/CAM冠は「前接C」に、その他の金属冠・ジャケット冠・硬質レジンジャケット冠は「金ジ」に、乳歯冠・小児保隙装置は「乳」に点数(加算を含む)と回数を記載する。
  • 失活歯歯冠形成は、レジン前装金属冠・前歯の3/4冠・CAD/CAM冠の場合は「前C」に、その他の金属冠・ジャケット冠・硬質レジンジャケット冠は「金ジ」に、乳歯冠・小児保隙装置は「乳」に点数(加算を含む)と回数を記載する。
  • 「充填材料」の項は、歯科用充填材料Ⅰの複合レジン系を用いた場合は「充Ⅰ」の上欄に、グラスアイオノマー系を用いた場合は下欄に点数と回数を記載する。歯科用充填材料Ⅱの場合も同様。なお、それぞれ充填の「単純なもの」は左欄に、「複雑なもの」は右欄に記載する。
  • CAD/CAM冠は「歯CAD」に点数と回数を記載する。
  • CAD/CAM冠については、「装着」の「+ × 」欄に加算点数とその回数も記載する。
  • 非金属冠をメタルコアにより支台築造した場合の加算は、項中の「+ × 」欄にその加算点数と回数を記載する。
  • クラウン・ブリッジ維持管理料の届出を行っていない保険医療機関が算定する70/100の点数は全体の「その他」欄に記載することとされていたが、歯冠修復・欠損補綴の「その他」欄への記載に変更された。
  • 小児保隙装置は「その他」欄に「保隙」と表示し、点数と回数を記載する。また、「摘要」欄に装置の種類を記載する。
  • コンビネーション鉤は、「その他」欄に「コンビCl」と表示し、点数と回数を記載する。
  • 「その他」欄に書ききれない場合は、全体の「その他」欄に記載する。

8.全体の「その他」欄について

  • 退院時共同指導料2の記載項目のうち「指導を行った日」の記載が「指導年月日」へ変更された。
  • 在宅かかりつけ歯科診療所加算は「在か診」と表示し加算点数と回数を記載する。
  • 在宅患者連携指導料の記載項目のうち「指導を行った日」の記載が「指導を行った年月日」へ変更された。
  • 歯科口腔リハビリテーション料1(2 舌接触補助床の場合)は「歯リハ1(2)」と表示し、点数と回数を記載する。
  • 歯科矯正の植立は点数を記載する。歯科矯正診断料または顎口腔機能診断料を算定した保険医療機関からの依頼による歯科矯正の植立は、「摘要」欄に診断料を算定した保険医療機関名を記載する。なお、アンカースクリュー脱落後の再埋入において特定保険医療材料を算定する場合または治療途中で新たにアンカースクリューを追加で植立する場合は点数を記載し、「摘要」欄にその旨を記載する。

9.「摘要」欄について

  • 健康診断の結果に基づき治療を開始するため初診料を算定しない場合は、その旨を記載する。
  • 歯科疾患管理料を算定した患者に対し、再度の初診を起こす場合に記載する「前回治療終了年月日」が「前回治療年月日」に改められた。
  • 歯科特定疾患療養管理料の共同療養指導計画加算の記載は、計画を共同で策定した主治の医師名は不要となり、計画を共同で策定した保険医療機関名のみでよいこととなった。
  • 診療情報提供料Ⅰ、Ⅱの記載は、算定日の記載が不要となった。
  • 歯科訪問診療で、患者の急変後の対応を行った場合は「その要点」を記載するとされていたが「その旨」の記載に変更された。
  • 訪問歯科衛生指導料と同月に歯科訪問診療料がない場合は、「直近の歯科訪問診療を行った月日」を記載することとされていたが「直近の歯科訪問診療料の算定年月日」に変更された。
  • 摂食機能療法の経口摂取促進加算は、連携している医師名を記載する。
  • 隣接する複数歯に対して根管充填を行うなどの特別な事情があり、根管充填・加圧根管充填処置と異日にエックス線撮影を行う場合は、「その旨」を記載する。
  • 同一歯に対して、初回の根管貼薬処置を実施した月から起算して6カ月を超えて根管貼薬処置を継続して行う場合は、当該歯の状況と初回の根管貼薬処置を行った年月を記載する。
  • 歯冠修復物や補綴物の除去に際して、「傷病名部位」欄の記載から明らかな場合は部位の記載が省略できたが、それに加えて、除去した歯冠修復物・補綴物の種類についても省略が認められるようになった。
  • メタルコア再着時に必要だった「その旨」の記載は不要となった。
  • 歯科矯正診断料または顎口腔機能診断料を算定した保険医療機関からの依頼による歯科矯正用アンカースクリューの撤去は、診断料を算定した保険医療機関名を記載する。
  • 歯科矯正の記載項目のうち「咬合異常の起因となった疾患名(別に厚生労働大臣が定める疾患または顎変形症)」の記載が不要となった。

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