2025年7月17日

産婦健診-2回助成自治体が9割弱に

保険医協会地域医療部は、2025年4月1日時点での産婦健診助成事業、乳幼児健診、妊産婦医療費助成事業の実施状況を調査し、県内全自治体から回答を得た。その結果を報告する。

産婦健診2回助成が47自治体に

日本産婦人科医会によると、産後うつは産婦の10人に1人以上に見られ、自殺や虐待、子どもの発達などに影響を及ぼす。産後うつの発症時期は産後1カ月頃が最も多く、自宅に戻ってから発症する母親が多い。そのため、本人からケアを求めることがほとんどなく、医療保健従事者側から積極的にスクリーニングして働きかける必要がある。
愛知県では2019九年からすべての自治体で産婦健診の助成を実施するようになった。
今回の調査で、助成回数を2回としている自治体は6自治体増え47自治体(県内自治体の87%)となった。
産後うつは早期発見、早期治療が求められることから、産婦との接触の機会を増やすことが何よりも重要である。各自治体では産婦健診だけでなく様々な形で接触機会を増やす努力がされている。
産婦健診は国が健診費用の2分の1を2回まで補助していることから、すべての自治体に少なくとも2回の助成を求めたい。

乳幼児健診5歳児健診は3自治体が実施

こども家庭庁は、発達障害などを早期発見し、就学前に必要な支援につなげるため、全国の自治体で五歳児健診の実施をめざし、費用助成など支援強化している。
今回の調査で、県内では高浜市、蟹江町、設楽町が実施していることがわかった。
5歳児は言語や運動能力、社会性が高まり、発達障害が認知される時期で、保健、医療、福祉による対応の有無が、その後の成長・発達に影響を及ぼす時期でもある。しかし、自治体からは健診医や心理職等の専門職の確保が困難、などの声が多く報告されており、健診の実施やフォローアップ体制をすぐに構築するのは難しい現状がある。
子ども家庭庁も当面の対応として一部地域でのモデル実施でも差し支えないとの通知を発出しており、自治体には柔軟な対応を求めたい。

妊産婦医療費助成6自治体が助成

妊産婦医療費助成制度は妊産婦が費用の心配なく医療を受けることができるよう、窓口負担の助成をする制度である。
全国的には、青森県(国保)、岩手県、栃木県、茨城県、富山県の五県が県制度で実施。新潟県は県の補助なしに全自治体が実施している。
今回の調査で、愛知県内で助成を実施しているのは昨年と変わらず東海市、東浦町、南知多町、美浜町、武豊町、設楽町の6自治体だけだった。
いずれも所得制限や自己負担なしで行われている。
昨今の晩婚化の傾向で、高齢妊娠や合併症を有する妊婦など、保険診療を受ける妊産婦が増えている。成育基本法が掲げる成育医療等を切れ目なく提供するためにも、妊産婦医療費助成制度の創設・拡充が求められる。協会では、今後も同制度の創設・拡充を国・県・市町村に求めていく。

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