2023年2月17日

任意予防接種・福祉医療制度・妊産婦健診

任意予防接種

要請項目~予防接種について

○流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)ワクチン、子どもや障害者のインフルエンザワクチン、帯状疱疹ワクチン、定期接種から漏れた人に対する麻しん(はしか)の任意予防接種に助成制度を設けてください。また、おたふくかぜワクチンは2回の助成を行ってください。

おたふくかぜ

おたふくかぜワクチンについて助成を行っている自治体は新たに稲沢市、東海市、大府市、豊明市が実施し22市町村(41%)となった。
おたふくかぜを巡っては、厚生労働省の予防接種・ワクチン分科会で定期接種化の検討が行われている。また、日本耳鼻咽喉科学会の調査では、2015・2016年の2年間で、少なくとも348人がおたふくかぜの合併症による難聴と診断されていることから、学会として定期接種化を求めている。
おたふくかぜワクチンは2回接種が望ましいとされており、大府市、豊明市、東栄町が新たに2回の助成を開始した。県内で助成回数を2回としているのは8市町村となった。より良い制度とするためにも2回接種の助成も検討するべきである。
国に対してムンプス難聴やその後の後遺症を防ぐためにも早急に定期接種化することとあわせて、市町村に対しては国の定期接種化を待つことなく助成制度の創設・充実を求めていく必要がある。

子どものインフルエンザ

子どものインフルエンザワクチンの助成制度を実施している自治体は岡崎市と幸田町の2自治体増え、19市町村(35%)。知多市・南知多町・設楽町・東栄町・豊根村では自己負担無料で実施している。助成対象については安城市や設楽町では18歳までの子どもを対象にしている一方、中学校3年生のみ(稲沢市、豊明市)、中学校3年生と高校3年生のみ(岡崎市、江南市、東海市、大府市、知多市、南知多町、幸田町)など範囲を限定している自治体もある。より広い対象での実施が望まれる。
子どもや障害者の健康を守り、学級閉鎖や看病のため仕事を休まざるを得ない親の負担を減らすためにも、すべての自治体でインフルエンザワクチンの助成制度があることが望ましい。

帯状疱疹

帯状疱疹ワクチンは、今年度から実施している自治体が蒲郡市、稲沢市、大府市、豊山町、飛島村の5自治体増え、7市町村(13%)となった。帯状疱疹は加齢に伴い増加する傾向にあり、50歳を境に発症率が急激に上昇し、70歳以上での発生頻度は1000人あたり10人以上となる。合併症や帯状疱疹後神経痛によって長期にわたって苦しむ患者が多いことから高齢者が健康に生活するためにもワクチンによる予防が重要である。帯状疱疹ワクチン助成については全国的にも急速に拡大していることから、愛知県内の市町村でも助成制度創設を強く求めたい。

麻しん

定期接種から漏れた人に対する麻しんワクチンついては、岡崎市と幸田町が新たに助成を開始した。一方で、豊橋市が今年度から助成を廃止したため、助成制度を実施している自治体は5市町(9%)となった。
麻しんについては、2018・2019年と連続して、未接種または1回接種の住民を中心に流行しており、流行を防ぐためにも緊急に助成制度の創設が求められる。同じく流行している風しんは、国が定期接種の追加対策を実施しており、麻しんへの対応も求められる。国に対して麻しんの定期接種化を求めるとともに、当面の緊急措置として自治体での助成制度創設を求めていく。
近年、ワクチンで防ぐことのできる疾患はワクチンで防ごうと各地で助成を求める声が広がり、小児用肺炎球菌ワクチンやヒブワクチン、ロタウイルスワクチンなどが定期接種化され、任意接種ワクチンを助成対象とする自治体も増加している。自治体キャラバンでは今後も任意接種ワクチンの助成を自治体に訴えていく。

下表の記号はそれぞれ次の通り。
◎:自己負担無料で実施
○:助成を実施
―:任意での助成制度はなし 
※美浜町は育児用品助成事業の中で2万円限度に助成
2021年10月以降に変更されたものはゴチックで表記した

福祉医療制度

要請項目~福祉医療制度について

○精神障害者保健福祉手帳1・2級を所持していない自立支援医療(精神通院医療)の窓口負担を無料にしてください。
○妊産婦医療費助成制度を創設・拡充してください。

精神障害者医療費助成制度

自立支援医療(精神通院)対象者について、2022年度から愛西市が半額助成から全額助成(無料)に拡充し、48市町村(89%)は精神障害者手帳を所持していなくても、通院の精神疾患に係る自己負担部分を無料としている。無料としていないのは、名古屋市・岡崎市・あま市・大治町・蟹江町・飛島村の6自治体のみである。
精神医療は、経済負担が病状にもたらす影響も大きいことを考慮し、全ての市町村で手帳所持にかかわらず無料とすることを実現すると同時に、愛知県に対して県制度の拡充の声を市町村からあげることが求められる。

妊産婦医療費助成制度

妊産婦医療費助成制度については、妊娠中には様々な合併症を発症するリスクも高まることが知られており、日本産婦人科医会も制度の創設を要望している。
県内では東海市・東浦町・武豊町・設楽町が制度を実施している。設楽町では母子手帳交付月の初日から、出産(流産を含む)翌月末までの期間を、全疾病を対象に助成を行っており、住民からも喜ばれている。全国では岩手県・栃木県・茨城県・富山県が県として助成制度を実施している。栃木県では、母子手帳の交付を受けた月の初日から出産(流産を含む)した月の翌月末日まで全疾病を対象に助成している。
妊産婦医療費助成制度は本来、国や県単位で行うことが重要である。しかし、妊産婦が安心して子どもを産み、育てられる環境の整備は喫緊の課題であることから、国や県での検討状況に関わらず各自治体で制度を創設することが求められる。

妊産婦健診

要請項目~健診・検診について

○産婦健診の助成対象回数を2回に拡充してください。

産婦健診の助成事業

産婦健診事業は2017年4月、産後うつの防止などを目的に国が創設した。実施主体は市町村で、健診費用の2分の1を国が、残りを市町村が負担している(最大2回まで)。
2019年4月からは県内すべての市町村で助成が実現した。また、助成回数を2回に設定しているのは、3自治体拡大し、23市町村(43%)となった。産婦健診を2回助成している自治体では、産婦健診の受診率が約80%で、そのうち産後うつの支援が必要と判定された受診者が約10%いるという結果も示されている。
2015~16年に妊娠中から産後1年未満の女性で死亡した357人のうち、自殺が102人で、その原因の一つに産後うつが考えられるとの報道もある。自治体では出産から子育てまで包括的に支援する子育て世代包括支援センターや産後ケア事業などの整備も進められており、様々なアプローチでの施策が重要であることは言うまでもない。産後のうつを早急に発見し、きめ細やかなフォローを行うために、今後も産婦健診の2回助成の実施を求めていく。

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