2023年8月27日

産婦健診・新生児聴覚検査・高齢者補聴器助成

新生児聴覚検査の助成は52自治体(96%)が実施

保険医協会地域医療部は、2023年4月1日時点での産婦健診助成事業・新生児聴覚検査の助成事業等の実施状況を調査し、県内全市町村から回答を得た。その結果を報告する。

産婦健診2回助成が6割超

日本産婦人科医会によると、産後うつは産婦の10人に1人以上に見られ、自殺や虐待、子どもの発達などに影響を及ぼす。産後うつの発症時期は産後一カ月頃が最も多く、自宅に戻ってから発症する母親が多い。そのため、本人からケアを求めることがほとんどなく、医療保健従事者側から積極的にスクリーニングして働きかける必要がある。
愛知県では2019年からすべての自治体で産婦健診の助成を受けられるようになった。
今回の調査で、助成回数を2回としている自治体は10自治体増え33自治体(県内自治体の61.1%)となった。産後うつは早期発見、早期治療が求められることから、産婦との接触の機会を増やすことが何よりも重要である。各自治体では産婦健診だけでなく様々な形で接触機会を増やす努力がされている。
産婦健診には国が健診費用の2分の1を2回まで補助する制度があることから、すべての自治体に少なくとも2回の助成を求めたい。

新生児聴覚検査

新生児の先天性難聴で両側難聴は1,000人に1~2人の割合で見つかるとされ、他の先天性疾患と比べ頻度が高い。先天性難聴は、新生児聴覚検査での早期発見が非常に重要で、聞く力や話す力をつける練習を早くから始めることで、ことばを十分に獲得しコミュニケーション能力を高くすることができる。
今回の調査で新たに七自治体(実施予定含む)が助成を開始し、県内で助成を行っている自治体は52自治体(同96.2%)となった。実施していない自治体は愛西市と東郷町のみとなり、早期の助成開始を求めたい。また、出産時に検査を受けられなかった場合に、何らかの方法でフォローをしている自治体が24自治体(助成実施自治体の44.4%)あることも分かった。
協会ではすべての新生児に新生児聴覚検査が実施され、聴覚障害の早期発見・早期療育につなげられるよう、制度の創設やきめ細かな制度実施を求めていく。

高齢者補聴器助成

補聴器購入費の助成は、障害者手帳があれば、障害者総合支援法に基づく補装具費支給制度で受けることができる。しかし、障害者手帳の発行を受けられるのは、両耳の聴力が70デシベル以上の高度・重度難聴者に限られ、軽度や中等度ではこの助成を受けることができない。
そのため、一般社団法人日本補聴器工業会の調査結果によると、難聴だと感じている人の補聴器使用率は13.5%と欧米諸国と比べて極めて低くなっている。
WHO(世界保健機関)では41デシベルの中等度難聴から補聴器使用を推奨しており、軽度や中等度への助成制度創設が求められている。
今回の調査で新たに大府市、知多市、あま市が助成を開始した。県内で助成制度がある自治体は前述3自治体と犬山市、稲沢市、設楽町の6自治体となった。
高額な補聴器に対する公的補助を求める声は多く、政府に公的補助制度創設を求める請願署名の取り組みなども各地で広がっている。協会では国や自治体に対して助成制度創設を求めていく。

注:表中のゴチックは前回調査(二〇二二年四月)からの変更点。

ページ
トップ