2025年6月27日

任意予防接種助成

帯状疱疹ワクチンの助成拡大 
一方で助成終了する自治体も

保険医協会地域医療部は、2025年4月1日時点での任意予防接種助成事業の実施状況を調査し、県内全自治体から回答を得た。その結果を報告する。

帯状疱疹

今年4月に帯状疱疹ワクチンが65歳を対象に定期接種化された。経過措置として5年間は65歳以上の5歳刻みの人も対象になる。
任意予防接種では、昨年5月以降、新たに7自治体が助成を開始(予定含む)し、県内で助成制度を実施しているのは43自治体(79.6%)となった。一方で定期接種化に伴い、5自治体(岡崎市、知多市、弥富市、あま市、幸田町)が助成を終了した。また、2自治体が助成終了予定または検討中であると分かった。
今回の調査では、各自治体の定期接種の自己負担額も調査し、生ワクチンで2,400円~4,200円、不活化ワクチンで6千円~1万3千円と自治体で自己負担額に開きがあった。
また、任意予防接種の助成をしている自治体の中には、65歳以上で定期接種対象外の人に対して、定期接種と同額の自己負担で受けられる自治体もあった。
帯状疱疹は罹患した20%の患者が神経痛を併発し、長ければ数年以上疼痛に苦しむことや、重い後遺症が残る可能性もあり、住民がお金の心配をせず、接種する機会を増やしていくことが求められる。


高齢者肺炎球菌ワクチン

今回の調査で、新たに自治体独自で任意接種の助成事業を開始した自治体はなかった。
高齢者肺炎球菌ワクチンは、2014年に65歳を対象に定期接種化され、経過措置として65歳以上で5歳刻み(上限百歳)の住民も対象となっていたが、2024年3月で経過措置が終了した。これに伴い、昨年は6自治体が独自の助成を終了した。今回の調査で、助成を終了した自治体はなかったが、2自治体が助成終了予定または検討中であると分かった。また、大府市が定期接種の自己負担額を2千円に、東浦町が定期接種と任意接種の自己負担額をそれぞれ2,700円に値上げした。

子どものインフルエンザ

子どものインフルエンザワクチンに対する助成については、豊田市、西尾市、常滑市、岩倉市、みよし市(実施予定)、東浦町が新たに助成を開始した。
県内で助成制度を実施している自治体は26自治体(47.1%)となったが、多くの自治体で対象年齢を限定している。
窓口負担無料は名古屋市、知多市、東郷町、南知多町、設楽町が実施。岡崎市は助成を終了した。
子どもの健康を守り、学級閉鎖や看病のために休まざるを得ない親の負担を減らすためにも、助成対象年齢の拡大やすべての自治体で全額助成によるインフルエンザワクチンの助成制度が望まれる。

おたふくかぜ

おたふくかぜワクチンに対する助成については、江南市、大口町が新たに助成を開始した。県内で助成制度を実施しているのは34自治体(63.0%)となった。この内、2回分の接種の助成を行っている自治体も新たに3自治体(津島市、田原市、幸田町)増え、19自治体となった。
おたふくかぜワクチンを巡っては、国が定期接種化の検討を行っているが、具体的な動きは見られない。定期接種化を待つことなく、自治体独自の助成制度を早急に設けることが重要である。自治体に対しても制度の創設と2回の助成を引き続き求めていく。

MRワクチン 麻しんワクチン

今回の調査で、MR(麻しん・風しん混合)ワクチンと麻しんワクチンで、新たに自治体独自で任意接種の助成事業を開始した自治体はなかった。
麻しんウイルスの感染力は非常に強く、国立感染症研究所の感染症発生動向調査によると、2025年はすでに国内で135事例(6月11日現在)が報告されおり、感染数が増加している。麻しんは重症化することもあり、予防にMRワクチンの接種が最も有効とされている。定期接種の機会を逸してしまった方などに対して、予防接種の機会を増やすことが求められる。

HPVワクチン(男性)

全国の自治体で、男性を対象にしたHPVワクチン接種の一部助成が増えている。今回初めて県内の実施状況を調査し、4自治体(豊橋市、豊川市、豊田市、みよし市)が助成していることが分かった。助成対象は小学校6年生から高校1年生の年齢に相当する男性としている。1人あたりの助成回数は3回としており、1回あたり1万3千円~1万6千円程度を助成している。
HPVは子宮頚がんだけでなく、男性では中咽頭がんの原因となることから、男性への接種も推奨されている。また、女性への感染を防ぐことで、将来のパートナーの子宮頸がん予防にもつながるため、男性のHPVワクチン接種は重要である。
任意予防接種の助成制度については、今回の調査結果を基に、助成の実施や拡充を求め、今後県内全自治体に要望書を送付する。

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