帯状疱疹
今回の調査で、24自治体が新たに助成を開始し、助成を行っているのは44自治体(81.5%)となった。
1人当たりの助成額は、生ワクチン(1回接種)で2千円~5千円、不活化ワクチン(2回接種)で1回あたり4千円~1万1千円を上限に2回助成を実施している。またワクチンの種類に関わらず1人あたり3千円~1万円(1回限り)を上限で助成している自治体もある。
また、すでに助成を実施している自治体の中には、助成額を拡充するところも出てきている。刈谷市や大府市では、ワクチンの種類に関わらず1人あたり3千円(1回限り)としていたが、助成額を生ワクチンで4千円、不活化ワクチン(2回接種)で1回あたり1万円に拡充している。
帯状疱疹は罹患した20%の患者が神経痛を併発し、長ければ数年以上疼痛に苦しむことや、重い後遺症が残る可能性もある。
保険医協会は早期の助成実施や拡充求め、「帯状疱疹ワクチン接種の助成制度創設・拡充を求める」要望書を県内全自治体に送付した(1面参照)。
高齢者肺炎球菌ワクチン
今回の調査で、新たに自治体独自で任意接種の助成事業を開始した自治体はなかった。
高齢者肺炎球菌ワクチンは、2014年に定期接種化され、対象は65歳とされたが、経過措置として65歳以上で5歳刻み(上限百歳)の住民も対象となっていたが、2024年3月で経過措置が終了した。これに伴い、任意接種を実施していた、瀬戸市、豊川市、西尾市、常滑市、尾張旭市、北名古屋市は独自の助成を終了した。常滑市は任意接種助成を終了した代わりに、定期接種の自己負担を1,500円引き下げ、2,500円にした。
肺炎による死亡の95%を70歳以上が占めていることからも高齢者の健康にとってワクチンの接種が重要であり、助成制度の再開・創設を訴えていきたい。
子どものインフルエンザ
子どものインフルエンザワクチンに対する助成については、名古屋市、西尾市、常滑市、岩倉市、みよし市、東浦町が新たに助成を開始した(予定含む)。
県内で助成制度を実施している自治体は26自治体(48.1%)となった。
このうち窓口負担無料で実施しているのは名古屋市、知多市、東郷町、南知多町、設楽町。
子どもの健康を守り、学級閉鎖や看病のために休まざるを得ない親の負担を減らすためにも、すべての自治体で全額助成によるインフルエンザワクチンの助成制度が望まれる。
おたふくかぜ
おたふくかぜワクチンに対する助成については、安城市、新城市、知多市、岩倉市、東栄町が新たに助成を開始した(予定含む)。県内で助成制度を実施しているのは32自治体(59.3%)となった。この内、2回接種の助成を行っている自治体も4自治体(岡崎市、安城市、知多市、東栄町)増え、16自治体となった。
おたふくかぜワクチンを巡っては、厚生労働省の予防接種・ワクチン分科会で定期接種化の検討が行われているが、具体的な動きは見られない。
定期接種を2回している国では、おたふくかぜの発症者数が99%減少した例もある。
また、日本耳鼻咽喉科学会は、おたふくかぜの合併症による難聴児を減らすために定期接種化が必要としており、早急な定期接種化を求めたい。
一方、定期接種化を待つことなく、自治体独自の助成制度を早急に設けることが重要である。自治体に対しても制度の創設と二回の助成を引き続き求めていく。
MRワクチン 麻しんワクチン
MR(麻しん・風しん混合)ワクチンは、定期接種化されているが、接種期間に接種の機会を逸してしまう方などを対象に、定期接種の期間以外でも独自で助成を行っている自治体がある。今回の調査で、4自治体(豊田市、小牧市、みよし市、幸田町)で助成制度があることが分かった。小牧市は自己負担無料で実施している。
麻しんワクチンは2回接種が必要だが、年代によっては任意接種だった時期や定期接種が1回だった時期があり、2回接種できなかった人への助成実施が求められる。
今回の調査で、麻しんワクチンの接種漏れの方を対象に助成を行っている自治体は、4自治体(岡崎市(実施予定)豊田市、みよし市、幸田町)だった。
国立感染研究所によると、今年4月3日時点で、麻しんの症例報告数は国内8府県で21例となっている。感染力が極めて強く、免疫がないと体力のある大人でも重い症状が出ることもあり、各自治体には定期接種以外の方への助成を求めたい。