2021年度の個別指導における主な指摘事項が、東海北陸厚生局のホームページに掲載された。愛知県保険医協会で抜粋・編集したものを掲載する。診療録などの記載内容について、今一度確認いただきたい。
【麻酔】
- 浸潤麻酔における麻酔薬剤の名称、使用量について、診療録への記載がない又は記載が不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。
- 麻酔の費用を算定できない場合においても、麻酔を行った際には、麻酔方法、麻酔薬剤の名称及び使用量を診療録に記載すること。
【補綴時診断料】
- 製作を予定する部位、欠損部の状態、欠損補綴物の名称及び設計等についての要点を診療録に記載していない例が認められたので改めること。
- 診療録に記載すべき内容(製作を予定する部位、欠損部の状態、欠損補綴物の名称及び設計等の要点)について、記載の不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。
【クラウン・ブリッジ維持管理料】
- 患者に提供した文書の写しを診療録に添付していない例が認められたので改めること。
- 患者への提供文書に記載すべき内容(クラウン・ブリッジ維持管理料の趣旨、補綴部位、装着日、保険医療機関名)について、記載がない、画一的な記載又は記載が不十分な例が認められたので、適切に記載すること。
【有床義歯】
- 高齢者で根管が閉鎖して歯内療法が困難な場合等、やむを得ず残根歯に対して、歯内療法及び根面被覆処置が完了できなかった場合に義歯を製作した際に、その理由を診療録に記載していない又は記載が不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。
- 鋳造鉤の保険医療材料について、誤って算定している例が認められたので改めること。
- 補強線を鋳造バーとして誤って算定している例が認められたので改めること。
【有床義歯修理】
- 修理内容の要点を診療録に記載していない又は記載の不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。
- 歯科技工加算について、預かり日、修理を担当する歯科技工士の氏名及び修理の内容を診療録に記載していない又は記載の不十分な例が認められたので改めること。
【有床義歯内面適合法】
- 顎堤吸収の状態、顎堤粘膜の状態等、症状の要点及び使用した材料名を診療録に記載していない例が認められたので改めること。
- 有床義歯内面適合法(有床義歯床裏装)に係る実施内容について、診療録への記載が不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。
診療報酬の請求等に関する事項
【届出事項】
- 次の届出事項について、変更が認められたので速やかに地方厚生(支)局長あてに届出すること。
保険医の異動、標榜診療科目の変更、標榜診療時間・標榜診療日の変更、う蝕に罹患した患者の指導管理の実施に係る指導管理(C選療)の種類及び金額
【掲示事項】
- 保険医療機関の掲示事項について、次の不適切な事項が認められたので、速やかに改めること。
明細書発行に関する状況に係る院内掲示を行っていない、内容が不十分又は不正確なものである。 - 次の施設基準について院内掲示を行っていない又は内容が不十分なものであるので改めること。
歯科点数表の初診料の注1に規定する基準、地域医療連携体制加算、歯科訪問診療料の注13に規定する基準、口腔粘膜血管腫凝固術、CAD/CAM冠、レーザー機器加算、クラウン・ブリッジ維持管理料
【診療報酬請求】
総論的事項
- 診療録と診療報酬明細書において、診療内容、部位、病名、所定点数及び合計点数について一致しない例が認められたので、保険医療機関及び保険医により十分に照合・確認を行うこと。
- 帳簿、伝票等の関係書類については、所定の期間(診療完結の日から3年間)保存しておくこと。
- 診療録と関係書類(歯科技工指示書及び納品書)において、一致しない例が認められたので、保険医療機関及び保険医により十分に照合・確認を行うこと。
【一部負担金】
- 一部負担金の徴収について、徴収すべき者から適切に徴収していない例が認められたので改めること。
- 未収の一部負担金の管理が不十分であった(管理簿を作成していなかった)ので改めること。
- 審査支払機関が行った減額査定を認容した結果、一部負担金に過徴収が生じた場合は、患者に適切に返金等の対応をすること。
【その他】
- 保険医療機関である旨の標示がない。
- 保険診療に関する諸規則や算定要件等の理解が十分でないことから、開設者及び保険医として備えるべき知識の修得に努めること。
(おわり)