愛知県地域保健医療計画~病床整備計画の矛盾残る
愛知県は2018年3月、地域医療構想を組み込んだ第7次愛知県地域保健医療計画を策定した。
2016年10月に策定された地域医療構想では、愛知県合計の既存病床数58,975床(2015年10月時点)に対し、2025年の必要病床数を57,773床に設定し、1,202床過剰であるとした。しかし、今次医療計画で示された2017年9月時点の既存病床数は56,536床と、2015年から2,439床削減しており、2025年の必要病床数と比較すると1,237床不足する。
一方、今次医療計画で必要病床数と異なる基準病床数も示され、愛知県合計で47,778床とされた。この数字と2017年の既存病床数(56,536床)を比較すると、全ての医療圏で病床過剰(県全体で8,758床)となる。既存病床数が基準病床数を超える医療圏では病院の開設、増床は原則として許可されないため、地域医療構想で示されている2025年の必要病床数と基準病床数との間に矛盾が生じることとなる。
どちらの数値も厚労省から示された基準を基に算出しているが、病床数の半減を示されている東三河北部では東栄病院の無床化の動きが地域に影響を与えているように、病床削減が地域に与える影響は大きい。機械的な病床削減ではなく、まずは病床が不足している各構想区域で必要病床数まで医療資源を充実させることが重要だ。
今後、各病院の病床数の変更や機能転換については、構想区域ごとに地域医療構想調整会議を開催し、各病院の将来の方向性と役割について認識を共有するとしている。
既に公立病院は「新公立病院改革ガイドライン」に沿って「新公立病院改革プラン」、公的医療機関等については「公的医療機関等2025プラン」により、自院の現状分析や2025年に向けた方向性や具体的な見直しを規定している。これら公的医療機関は、山間・へき地など過疎地域における基幹的な役割を担っており、不採算な診療科も含め地域医療を支えてきた。効率のみを重視して不採算部門の閉鎖や病床を削減する事は地域医療のみならず、地域そのものを破壊することにつながりかねない。
今後は同時期に策定された医療費適正化計画や、現在国会で議論されている「医療法及び医師法の一部を改正する法律案」など、様々な医療費削減の流れを転換させる運動と地域住民と共に地域医療を守る取り組みが求められている。