2022・歯科診療報酬改定情報3

在宅歯科医療など―「個別改定項目」(2回目)

前回につづき、1月26日の中医協総会で示された「個別改定項目について」を紹介する。

質の高い在宅歯科医療推進―歯援診の施設基準で訪問診療の回数要件が変更、歯援診1には経過措置

在宅療養支援歯科診療所(歯援診)の施設基準の要件が変更される。歯援診1を届け出るためには「歯科訪問診療料1および2を合計十五回以上」、歯援診2の場合は「合計10回以上」の算定が求められているが、いずれの算定回数についても変更される。要件とされる回数については未定だが、歯援診1については、2022年3月末までに届け出ていれば、2023年3月末までの1年間は、回数要件を満たしているとみなされる経過措置が設けられる。歯援診2の経過措置は設けられていない。
歯援診の施設基準を届け出ている場合、歯科疾患在宅療養管理料(歯在管)、在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料(訪問口腔リハ)、小児在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料(小訪問口腔リハ)の算定時に他よりも高い点数を算定することができる。

―20分未満の歯科訪問診療の減算率変更

現在、歯科訪問診療料1・2・3はいずれも診療時間が20分未満の場合は100分の70の点数に減算される。今回の改定では、それぞれの歯科訪問診療料ごとに減算率が決められる。減算率は明らかにされていない。

―訪問口腔リハの対象明記、小訪問口腔リハの年齢拡大

訪問口腔リハの対象疾患に口腔機能低下症も含まれることは、通知にはあるものの、告示ではあきらかにされていなかった。今回「…摂食機能障害または口腔機能低下症を有し…」と明記される。
小訪問口腔リハの対象年齢は15歳未満から18歳未満に引き上げられ、18歳に達した日以後も管理が必要な場合は継続できることとなる。
訪問口腔リハ、小訪問口腔リハのいずれも算定点数が見直される。

医療におけるICTの活用―訪衛指の情報通信機器使用で訪問診療料に加算

歯科衛生士などが、訪問歯科衛生指導を行う際、当該歯科医療機関の歯科医師が情報通信機器などにより患者の口腔内を観察して訪問診療を実施した場合に算定できる通信画像情報活用加算が新設される。
ただし、歯援診の届出を行った歯科医療機関で歯科訪問診療料1または2を算定する場合に限られる。また、「過去○月以内に訪問歯科衛生指導料を算定した患者」とされており、その期間は明らかにされていない。

歯科固有技術の評価―既存技術の明確化・評価の見直し、新規技術の保険導入の検討など

これまで「金属歯冠修復」の通知に位置づけられていた接着冠について、告示に明記され個別の点数が示される。同様に「有床義歯」、「金属歯冠修復」の通知による根面被覆に個別の点数が示される。
歯周疾患処置(P処)の名称が「歯周病処置」に改められる。
その他、詳細は明らかにされていないが評価の見直しを行う技術例として、支台築造印象、有床義歯が挙げられている。また、新規技術の保険導入を検討するものとして、①CAD/CAMインレー、②口腔細菌定量検査、③歯科部分パノラマ断層撮影、④広範囲顎骨支持型補綴装置埋入手術における画像等手術支援加算、⑤顎補綴などの症例に対する直接法における軟質材料の適用拡大、⑥先天性疾患などに起因した歯科矯正の適応症の拡大、⑦永久歯萌出不全に起因した咬合異常に対する歯科矯正の適用基準の拡大、⑧チタンによる前歯部レジン前装金属冠、⑨歯科麻酔管理料における長時間麻酔管理加算、などが例示されている。

前号・今号の2回にわたり「個別改定項目」案について紹介した。今後、中医協による答申、告示・通知の発出により改定内容が確定していくので、その都度紹介していく。

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