2022・歯科診療報酬改定情報2

「個別改定項目について」示される―中医協総会

中央社会保険医療協議会(中医協)は、1月26日の総会で「個別改定項目について」を示した。昨年12月10日に「歯科医療(その2)」、1月12日に「これまでの議論の整理(案)」を検討、14日に厚労省の諮問を受けて具体的な個別項目の検討に入った。「個別改定項目について」は、いわゆる「短冊」と呼ばれる告示の改定素案で、点数こそ明記されていないが、今次改定の変更点を網羅している。
歯科医療に関わる主な内容を紹介する。

院内感染防止対策の推進―歯初診の施設基準研修に感染症を追加して引き上げ

新型コロナ感染症への特例的な対策として、2020年12月以降「外コ」「小コ」などの算定が認められてきたが、今回それらが廃止となり(「外コ」は昨年9月末に廃止)、基本診療料(初・再診料)が引き上げられる。ただし、初診料の注1に示される施設基準(歯初診)の研修要件については、歯科医師および職員に「標準予防策および新興感染症に対する」内容が求められる。2021年4月以降に研修を受講し2022年3月末までに届出を行った場合は受講日から2年間、2021年4月以前に研修を受講して届出を行っている場合は2023年3月末まで、いずれも研修要件を満たしているとみなす経過措置が設けられる。
なお、歯初診の届出を行っていない歯科医療機関は従来どおり、歯科初診料240点、歯科再診料44点を算定する。

歯科口腔疾患の重症化予防―SPT一本化、F局の対象者変更

これまで二本立てとなっていた歯周病安定期治療のSPT(Ⅰ)と(Ⅱ)が「歯周病安定期治療」として一本化される。算定頻度は3カ月に1回だが、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)においては「この限りではない」とされ、従来と同様1カ月に1回の算定が可能。また、SPT(Ⅰ)と(Ⅱ)では点数に差異があったが、「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所加算」が新設されるため、か強診とそれ以外の歯科診療所では算定できる点数に差異があることは変わらない。
フッ化物歯面塗布処置(F局)の対象となっていた「在宅等療養患者の場合」が「初期の根面う蝕に罹患している患者の場合」に変更される。従来は、根面う蝕のある患者に対してのF局は、歯科訪問診療の患者に限られていたが、外来患者であっても、歯科疾患管理料(歯管)を算定した一定年齢以上の患者に対するF局を認める。また、歯管へのフッ化物洗口指導加算(F洗)の対象年齢も変更される。F局、F洗とも年齢については、現在のところ明らかにされていない。

かかりつけ機能の評価―か強診の施設基準の変更

か強診の施設基準が変更される。これまで過去1年間にSPT(Ⅰ)と(Ⅱ)の算定回数が30回以上求められていたが、一本化されるSPTと歯周病重症化予防治療(P重防)をあわせて30回以上算定していることとされる。
また、11項目のうち3項目以上の該当が求められていた地域における連携体制に係る要件に「福祉型障害児入所施設、医療型障害児入所施設、介護老人福祉施設または介護老人保健施設などにおける定期的な歯科健診に協力していること」が加えられ、選択肢が12項目に増える。

地域包括ケアシステム推進―総医、在歯総医の施設基準廃止

歯科治療時に総合的医療管理が必要な患者に対して、医科主治医の情報をもとに指導・管理を行った場合に算定する歯管への総合医療管理加算(総医)と、歯科疾患在宅療養管理料(歯在管)への在宅総合医療管理加算(在歯総医)の施設基準が廃止され、届出を行っていない歯科医療機関も算定可能となる。また、いずれの加算にも対象となる患者・疾患に「HIV感染症患者」が追加される。
なお、総医、在歯総医と同じ届出要件が必要とされてきた歯科治療時医療管理料(医管)と在宅患者歯科治療時医療管理料(在歯管)については変更がなく、算定には引き続き施設基準の届出が必要である。

口腔機能低下への対応―口機能、小機能の対象年齢拡大

口腔機能の低下がみられる年齢の実態などを踏まえ、65歳以上とされている口腔機能管理料(口機能)や、15歳未満の小児とされている小児口腔機能管理料(小機能)の対象年齢をそれぞれ拡大する。

歯科固有技術の評価―メタルコア加算、P基処は廃止

歯冠形成のメタルコア加算は、ファイバーポストなど非金属の支台築造に加算の評価がないことから廃止される。
歯周基本治療処置(P基処)は、比較的簡単な診療行為であるとされ廃止される。基本診療料に包括され、初・再診料引き上げの財源にまわされた格好となった。
前回改定以降に保険適用されたチタン冠、前歯に対するCAD/CAM冠、有床義歯に対する磁性アタッチメントなどの新規医療技術が告示・通知に組み込まれ、準用点数で算定していたものは、個別の点数が貼り付けられる。具体的な点数、算定方法などは判明次第お知らせする。 (つづく)

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