歯科社保コーナー「カルテの性格とその取扱い」

カルテ記載の留意点(1)「カルテの性格とその取扱い」

 毎日の診療で必ず扱う「カルテ」。カルテは医療行為などの記録であるとともに診療報酬の算定点数の根拠を兼ね備え、審査・指導でも重要な意味を持っている。改めてカルテの意味や重要性を確認し、日頃のカルテ記載を見直す機会としていただきたく、カルテに求められる役割や記載の基本、そして主な点数の算定要件にある記載の要点について、3回に渡って掲載する。

カルテの性格

 カルテはそもそも歯科医師法第23条、療養担当規則第22条で「記載」と「保存」が義務付けられている。
 また、カルテは医療行為などの記録であると同時に診療報酬請求の原簿ともなり、指導・監査などの提出書類でもある。さらに医療訴訟の際の証拠書類ともなり、適正なカルテ記載は、「保険医の強力な味方」となる。充実したカルテ記載が、保険医を守ることをまず確認しておきたい。

カルテの取扱い

 歯科医師法第23条、療養担当規則第22条では、「遅滞無く診療に関する事項を診療録(カルテ)に記載しなければならない」と定めている。忙しい診療に追われ、カルテへの記載が後日になる例も見受けられるが、後日記憶を頼りに作成したり、メモしたものをまとめて記載したりすることはしてはならない。
 次にカルテには、患者の症状、治療方針、指導内容、検査結果などを詳しく記載し、診療の経過が一目で分かる工夫や保険点数の正確な記載を行い、的確な請求ができるよう整備を心掛けたい。なぜその診療を行ったのか、後日でも説明可能とするためには日頃からの整備が欠かせない。
 また、レセプトコンピュータなどでカルテを作成した場合は、その都度プリントアウトし、署名か記名押印する。複数の保険医がいる場合も、その都度診療した保険医が署名か記名押印をする必要がある。
 そして、自費と保険のカルテは別々に整備することが求められる。保険から自費、自費から保険に移行した場合には、それぞれのカルテに移行の旨を記載する。
 また、カルテは治療の終了ごとに新しく作成することはしない。カルテの保存期間は治療完結の日(患者が最後に来院した日)から5年間であり、それを超えなければ廃棄することはできない。改めて確認をお願いしたい。
 カルテの意味やその重要性を改めて確認すると、忙しい日常診療の中であっても、日頃からきちんとした整備が重要であることが分かる。

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