3月5日、点数表や施設基準等の告示・通知が発出され、今次改定の具体的な内容が示された。現在明らかにされている主な内容を紹介する。
歯初診の職員研修は院内研修で可
歯科初診料の注1に規定される施設基準の要件に、「職員を対象とした院内感染防止対策にかかる標準予防策等の院内研修を実施していること」が追加された。職員研修は「院内研修」で足りるとされ、団体などが行う研修を受講する必要はない。また、講師も「院内の歯科医師」などが行えば良く、外部講師などを招く必要もない。
対象となるのは、診療補助、医療材料の準備、器具の洗浄・滅菌等を行う職員とされ、受付業務のみを行う職員は対象外となる。研修内容は、院内感染防止対策にかかる「標準予防策(スタンダード・プリコーション)」「医療機器の洗浄・消毒・滅菌」などが挙げられている。
今回の変更による再度の届出は不要で、すでに届出を行っていれば6月末までは要件を満たしていると見なされる。毎年7月に厚生局へ提出する「定例報告」に添付する様式2の7「歯科点数表の初診料の注1の施設基準に係る報告書」の「院内研修の実施状況」欄に記載する。
今回の改定で、施設基準を届け出た歯科医療機関の初診料は261点となったが、未届けの場合は240点に据え置かれ、その差は11点から21点に大きく広がった。厚労省が本気で全歯科医療機関で院内感染防止対策が必要と考えるなら、任意の施設基準届出ではなく、初・再診料をコストに見合うだけ引き上げた上で、滅菌等の実施を求めるべきである
歯管 長期管理加算
歯科疾患管理料(歯管)の長期管理加算が新設され、初診月から6カ月を超えて継続管理を行った場合、「か強診」の場合は120点を、「か強診以外」の場合は百点を、毎月の歯管に加算して算定する。
1回目の歯管の算定が初診月の翌月となった場合などでも、初診月から6カ月を超えていればその月から算定できる。今年四月以前に初診日がある場合でも、4月の時点で6カ月を超えていれば4月の歯管に加算することができる。
これまで歯管は初診月もしくはその翌月末までに算定しなければ、その後は算定することができなかったが、今次改定で必要に応じて算定を開始することができるようになった。今までは月末の初診日にP急発で切開を行い、歯周病検査ができず、2回目の受診が翌々月の月初になった場合などには、その後継続的にP治療を行っても歯管が算定できない事態が生じたが、今後は算定が可能になる。以前から通院中でこれまで歯管の算定をしていなかった患者に対しても、4月以降は算定が可能となる。
歯管の対象は、「継続的な歯科疾患の管理が必要な患者」とされていたが、ここから「継続的な」の文言が外れた。しかしそれによって「ダツリ・再着」など1回の治療で完了する患者にも算定できるようになったと考えるのは早計で、取り扱いは従前から変更されていないので注意を要する。
長期管理加算は、歯科医療機関を厚労省の継続管理・長期管理路線に誘導するもので、再初診を起こしにくくさせる狙いもある。