2018・歯科診療報酬改定情報(2)

 厚生労働省は、1月12日に開催された中医協総会で、2018年度診療報酬改定に関する諮問書を提出した。あわせて「平成30年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理(案)」も提示され、パブリックコメント、公聴会などを経て今後議論が行われる。1月下旬には具体的な改定項目、いわゆる「短冊」が示され、2月上旬には中医協からの答申が示される予定となっている。
 「平成30年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理(案)」のうち、歯科医療に関わる主なものは、本紙1月15日号歯科のページで紹介した「歯科医療(その2)」の内容と同様だが、今回は在宅歯科医療について紹介する。

歯科訪問診療料・急性対応加算が引き下げか

 「質の高い在宅歯科医療の提供体制の確保」のため、歯科訪問診療料および在宅患者等急性歯科疾患対応加算(急性対応加算)等の加算の見直しが提案されている。これまでの中医協での議論では、歯科訪問診療料については「歯科訪問診療料1」を算定している医療機関が最も多いこと、在宅患者等急性歯科疾患対応加算については歯科訪問診療の約99%で算定されていることが課題として挙げられていることから、それぞれ引き下げられる懸念がある。
 また、在宅療養支援歯科診療所(歯援診)の施設基準に、地域の医療や介護関係者との連携実績を追加することが提案されている。

訪衛指「単一建物」の考え方を導入

 訪問歯科衛生指導料(訪衛指)については、指導時間・指導人数等で区分されている「簡単なもの」「複雑なもの」の区分を廃止した上で、(1)1人の患者に対して1対1で20分以上の指導を行った場合、単一建物診療患者の人数に応じた評価、(2)複数の患者に40分以上指導を行った場合の評価を適正化し、在宅療養患者に対する専門的口腔衛生処置の評価を新設、(3)指導内容に口腔機能に関連する療養上必要な指導を追加――が提案されている。
 この中で特に(1)については、注意が必要だ。現在は「20分」に満たない場合でも算定できるものが、認められなくなるだけではなく、「単一建物」と言う考え方が入っている点である。
 現在は、同一建物に居住する患者に対して「同一日」に指導した人数に応じて算定している。しかし、「単一建物」の場合は、同一建物に居住する患者に対して、「同一月」に指導した人数に応じた算定となる。これは、訪問の都度1人の患者に指導を行っても、同一月に複数の患者に指導を行えば低い点数の算定となることを示す。さらに、指導した月が終了しないと、どの点数で算定するかが決まらないなどの問題点がある。
 「単一建物」の考え方は、昨年11月の社会保障審議会の介護給付費分科会でも了承されており、介護保険の居宅療養管理指導費(歯科医師・歯科衛生士とも)も同様の取り扱いが提案される可能性が高い。

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