2018・歯科診療報酬改定情報(1)

 2018年の診療報酬改定の改定率が決定した。診療報酬全体では公称でマイナス1.19%だが、外出しされた大型門前薬局への対応を含めると実質1.24%のマイナス改定となった。診療報酬本体ではプラス0.55%だったが、薬価・材料などがマイナス1.74%となったため、全体ではマイナス改定となった(本紙3面参照)。
  歯科の技術料はプラス0.69%でプラス改定を維持したが、歯科医療の質の確保、歯科医療機関の経営の改善につながるものとは言いがたい。

中医協総会で「歯科医療(その2)」を審議

 12月6日に開催された中医協総会では、「歯科医療(その2)」が提案・了承された。主な提案内容は、外来診療における院内感染対策、口腔疾患の重症化予防や口腔機能低下への対応、地域包括ケアシステムの推進の視点から、医科歯科連携、病院併設歯科の評価、かかりつけ歯科医機能の評価――があげられた。以下に概要を紹介する。

基本診療料に施設基準を新設 届出を行わなければ減算
 基本診療料に院内感染防止対策に関する施設基準を新設して基本診療料の引き上げを行うとともに、新設の施設基準を届け出ない医療機関の基本診療料は減算する。ただし、基本診療料の引き上げは、現行の歯科外来診療環境体制加算(外来環)を引き下げた上で、その引き下げ分を充当するため、現在、外来環を算定している医療機関では、引き上げられた基本診療料と外来環の合計点数は変わらない(図参照)
 新設される施設基準の詳細は今後定められるが、厚労省は「オートクレーブの設置は最低限盛り込むほか、実効性のあるものにしたい」としている。
 外来環については「院内感染対策が含まれている」との考え方により、基本診療料に上乗せした分、外来環の点数は引き下げられ、あわせて施設基準も変更される。
 

医科歯科連携の情報提供で「照会」などを評価
 現行の診療情報提供料(1)は、診療の結果、他院での診療の必要性を認め、患者の「紹介」を行った場合に算定できるものとされており、患者が「自院から他院」に移動することが前提となっている。従って、自院に受診した患者の状況を他院に訊ねる「照会」などは対象とされていない。
 今回提案されたのは、医科歯科連携を推進する観点から、歯科診療を行う上で必要な診療情報や処方薬剤の情報等の医科医療機関への問い合わせや、またそれに対する医科医療機関からの診療情報の提供等、診療情報提供料(1)の要件に該当しない医科歯科間の診療情報の共有を評価するもので、必ずしも患者の移動を要件とはしていない。

「か強診」の施設基準要件の追加と緩和を提案
 かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(「か強診」)の施設基準について、地域の関係者との連携体制を確保しつつ、口腔疾患の重症化予防や口腔機能維持のため、継続的な口腔管理・指導が行われるように、かかりつけ歯科医機能の評価および「か強診」の施設基準の見直しが提案された。その内容は、(1)う蝕や歯周病の重症化予防に関する継続的な管理の実績、(2)地域連携(地域ケア会議等の介護に関する会議等への参加または地域の健診事業等への協力等)の実績、(3)在宅医療における継続管理や医療機関間の連携体制等に関する評価、(4)かかりつけ歯科医として必要な知識や技術の習得を推進するため、研修内容の見直しおよび一定期間ごとの研修の受講――となっている。
 (2)・(3)では、地域の施設や行政等、在宅医療における他医療機関との連携が重視され、(4)においては、研修内容・研修項目が変更され、一定期間ごとの受講が求められるようになる。
 また、施設基準の届出には歯科訪問診療算定の実績が求められていたが、これは在宅療養支援歯科診療所との連携(歯科訪問診療の依頼)実績でも可とする方向で提案された。

周術期口腔機能管理・訪問診療に係る医科歯科連携を評価
 医科から歯科への周術期口腔機能管理の依頼を促進するため、全身麻酔下で手術を行った急性期脳血管疾患患者で誤嚥性肺炎のリスクが高い患者や、低栄養状態の患者等について周術期口腔機能管理の対象として拡大すること、すでに周術期口腔機能管理の対象であるが、周術期口腔機能管理後手術加算の対象となっていない骨髄移植等について当該加算の対象にすることなどが提案された。
 また、在宅歯科医療における医科歯科連携を推進するため、診療情報提供料(1)の歯科医療機関連携加算について、現在在宅療養支援歯科診療所となっている紹介先歯科医療機関を、「歯科訪問診療を実施する歯科医療機関」に緩和するなど、周術期口腔機能管理・歯科訪問診療について医科医療機関へのインセンティブを設けることが提案された。

口腔疾患の重症化予防、口腔機能低下への対応等の評価など
 その他、発達期の小児や、口腔機能が著しく低下して継続的な管理を必要とする高齢者への口腔機能管理に対する評価、自己管理が困難な患者の口腔衛生管理の評価や歯科治療総合医療管理料(1)等の見直しが検討されている。

特定薬剤、麻酔薬剤の算定方法が見直される

 また、12月13日の中医協総会では、ペリオクリンなどの特定薬剤や麻酔薬剤の算定方法について、現在は40円とされている控除額を15円とすることが提案・了承された。
 特定薬剤や麻酔薬剤を使用する場合、薬価の合計から40円を控除し10円で除した点数(一点未満切り上げ)を算定するとしている。これは、1972年に事務手続の簡略化等の観点から定められたもので、歯科のみに定められたルールだが、現在は、当時使用されていなかった薬剤が最も多く使用されているなど、状況が変化していることなどから変更されることとなった。

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