個別指導における主な指摘事項(3)

2016年度の個別指導における主な指摘事項を、東海北陸厚生局より入手したので、愛知県保険医協会で抜粋したものを掲載する。日常診療における診療録などの記載内容について、今一度確認していただきたい。

【投薬】

  • 適応外の薬剤投与が認められた。
  • 適切に治療効果判定を行い、漫然と投与することがないよう改めること。
  • 病名、症状、経過、年齢を考慮した上で、適切に薬剤投与を行うこと。

【歯科口腔リハビリテーション料1(有床義歯の場合)】

  • 診療録に、調整方法・調整部位・義歯に係る指導内容、の該当事項についていずれか未記載、または記載が不十分な例が認められたので記載内容の充実を図ること。
  • 診療録への義歯に係る指導内容の記載が画一的であり、実態に即した内容となっていない例が認められたので、患者毎の状況に応じた指導内容となるよう改めること。

【歯科口腔リハビリテーション料2】

  • 診療録への実施内容等の要点にかかる記載について、患者毎に行った療養上の指導または訓練・口腔機能の回復または維持・向上を図った場合の内容、の該当事項いずれかの未記載が認められたので記載するよう改めること。

【加圧根管充填処置】

  • 気密に根管充填がされていないにもかかわらず算定された加圧根管充填処置が認められた。
  • 加圧根管充填後に気密な状態であることを確認するためのエックス線撮影を行っていない例が認められたので、加圧根管充填処置を行った際は、エックス線撮影を行い、状態の確認をした上で算定するよう改めること。

【歯冠修復物または補綴物の除去】

  • 歯冠修復物または補綴物の除去(根管内ポストを有する鋳造体の除去)が算定要件(歯根長の3分の1以上のポスト)を満たしていない例が認められた。

【暫間固定】

  • 検査結果及び臨床所見等から判断して必要性が認められない暫間固定(簡単なもの)が行われていたので、改めること。
  • エナメルボンドシステム及び接着レジンによるワイヤー固定による暫間固定を行っているにもかかわらず、装着料あるいは装着材料料を算定していたので改めること。

【歯周治療】

  • 「歯周病の診断と治療に関する指針」を参照し、歯科医学的に妥当適切な診療を行うこと。
  • 歯周病検査の検査結果に基づき、歯周疾患の診断を的確に行うこと。
  • 歯周疾患の治療を行う際は、治療計画を策定し、それに基づき治療を行うこと。
  • 歯周病に係る症状、所見の診療録記載が乏しく、診断根拠や治療方針が不明確であるので改めること。
  • 病的安定、治癒の判断、治療計画の修正が的確に行われていないので改めること。
  • 検査結果及び臨床所見等から判断して必要性が認められないスケーリング及びSRPが行われていたので改めること。
  • スケーリングまたはSRPから、次の歯周病検査までの間隔が短く、また、診療録に検査の必要性を記載せずに歯科医学的に妥当・適切と認められない事例が認められたので改めること。
  • 歯冠修復またはブリッジと並行する不適切な歯周治療が認められたので改めること。歯冠修復またはブリッジと並行する歯周治療を行う際は、治療の必要性に留意し、その旨を診療録に記載すること。

【歯周病安定期治療】

  • 歯周病安定期治療を算定したにもかかわらず、診療録への治療内容の要点の記載が不十分であるので記載内容の充実を図ること。

【歯周基本治療処置】

  • 診療録に使用した薬剤名が記載されていないので改めること。

【機械的歯面清掃処置】

  • 歯科衛生士による機械的歯面清掃を行った際、診療録への当該歯科衛生士名の記載がない例が認められた。

【手術】

  • 手術を行った際、診療録への手術部位、所見及び手術内容の要点の記載が不十分であるので記載内容の充実を図ること。
  • 臨床所見等から判断して必要性が認められない手術が認められた。

【口腔内消炎手術】

  • 切開(歯肉膿瘍)を行った際は、診療録に手術部位・症状及び手術内容の要点を記載すること。

(つづく)

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