診療報酬明細書の記載要領の主な変更点

 「厚労省保険局医療課長通知 保医発0325第6号」をもとに、主な変更点について愛知県保険医協会が作成した。
※名称変更のみで、改定後に変更のないものは省略。
※摘要欄については、各請求欄の中にもあるので留意されたい。

1.「特記事項」欄について

  • 乳幼児加算(6歳未満)、歯科診療特別対応加算または歯科訪問診療時の加算のいずれかを算定している場合は、改定前は「40 50/100」(手書きの場合は「50/100」)と記載していたが、改定後は「40 加算」(手書きの場合は「加算」)と記載することになった。

2.「届出」欄について

  • 歯周組織再生誘導手術の届出を行っている保険医療機関が記載する「GTR」の項目がなくなった。
  • 明細書発行体制等加算の届出が不要になったため「明細」の項目がなくなった。
  • かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の届出を行っている場合は「か強診」、歯科治療総合医療管理料(Ⅰ)および(Ⅱ)の届出を行っている場合は「医管」、在宅患者歯科治療総合医療管理料(Ⅰ)および(Ⅱ)の届出を行っている場合は「在歯管」、歯科技工加算1および2の届出を行っている場合は「歯技工」、在宅歯科医療推進加算の届出を行っている場合は「在推進」をそれぞれ○で囲む。

3.「初診」欄について

  • 特別の関係にある施設等に入所している患者に対して、初診にあたる歯科訪問診療を行った場合は、「初診」の項に点数を記載し、「摘要」欄に「訪問(特別)」と記載する。

4.「再診」欄について

  • 特別の関係にある施設等に入所している患者に対して、再診にあたる歯科訪問診療を行った場合は、「再診」の項に点数を記載し、「摘要」欄に「訪問(特別)」と記載する。

5.「管理・リハ」欄について

  • 「歯管」加算点数についての「+ 」欄に、それぞれ左から文書提供加算、フッ化物洗口指導、エナメル質初期う蝕管理加算の順に加算点数を記載する。
【「管理・リハ」の「その他」欄】
  • 歯科治療総合医療管理料(Ⅱ)は、「医管(Ⅱ)」と記載し、点数および回数を記載するとともに、当該管理の対象となる医科の主病名を「摘要」欄に記載する。

6.「X線・検査」欄について

  • 歯冠補綴時色調採得検査は、「色調」の項に点数および回数を記載し、「摘要」欄に「色調」と記載し、それぞれの検査ごとに検査対象となった歯冠補綴物の部位を記載する。
【「X線・検査」の「その他」欄について】
  • 新生児、3歳未満の乳幼児または3歳以上6歳未満の幼児に対する加算を算定した場合は、画像診断の種類、当該加算後の点数および回数を記載する。
  • 有床義歯咀嚼機能検査の「1 下顎運動測定と咀嚼能力測定を併せて行う場合」を新製有床義歯装着日より前に算定する場合は、「咀嚼機能1(前)」と記載し、点数を記載する。なお、傷病名の部位から新製有床義歯管理料の「2 困難な場合」に準じる状態であると判断できない場合は、有床義歯咀嚼機能検査を開始する時に、「摘要」欄にその内容(例:「臼歯部のすれ違い咬合」、「対顎に総義歯を装着」)を記載する。また、新製有床義歯装着日より後に算定する場合は「咀嚼機能1(後)」と記載し、点数を記載し、「咀嚼機能1(前)」を算定した年月および新製有床義歯を装着した年月を「摘要」欄に記載する。
  • 有床義歯咀嚼機能検査の「2 咀嚼能力測定のみを行う場合」を算定する場合は、「咀嚼機能2」と記載し、点数を記載する。また、有床義歯咀嚼機能検査の「1 下顎運動測定と咀嚼能力測定を併せて行う場合」を算定した年月および新製有床義歯を装着した年月を「摘要」欄に記載する。

7.「処置・手術」欄について

  • 根管充填の際に加圧根管充填処置を併せて行った場合は、「加圧根充」の項の上から単根管、2根管、3根管以上の順に加算点数および回数を記載する。なお、加圧根管充填後の歯科エックス線撮影において、妊娠中であり、エックス線撮影に同意が得られない場合においては、「摘要」欄にその旨を記載すること。
  • 手術用顕微鏡加算は、「加圧根充」の項の「+ ×」欄に点数および回数を記載する。なお、当該加算において、連携する医療機関にて歯科用3次元エックス線断層撮影を撮影した場合は、撮影した医療機関名を「摘要」欄に記載する。
  • 機械的歯面清掃処置を算定にあたり、「摘要」欄に2回目以降の算定時に必要であった「その旨」と「前回実施月」の記載に加え、初回の場合は、「初回」と記載することになった。
  • フッ化物歯面塗布処置を算定にあたり、「摘要」欄に2回目以降の算定時に必要であった「その旨」と「前回実施月」の記載に加え、初回の場合は、「初回」と記載することになった。
  • 歯周病安定期治療(Ⅱ)は、「SPT(Ⅱ)」の項に点数を記載し、「摘要」欄は、歯周病安定期治療(Ⅱ)の初回の実施年月を記載する。(初回の場合は1回目と記載)
  • 歯周疾患処置について、糖尿病を有する患者に対して、スケーリング・ルートプレーニングと並行して歯周疾患処置を行う場合は、「摘要」欄に「P処(糖)」と記載し、初回の年月日および紹介元医療機関名を記載する。
  • 抜歯手術は、「抜歯」の項のうち、前歯および臼歯の難抜歯加算は、「前」または「臼」の項の「+ ×」欄にそれぞれ加算点数および回数を記載する。
【「処置・手術」の「その他」欄について】
  • 床副子(2 困難なもの)において、腫瘍等による顎骨切除後、手術創の保護等を目的とするオブチュレーターを製作した場合は、「オブチュレーター」と記載し、当該床副子に係る印象採得、咬合採得、装着および床副子の点数をそれぞれ記載する。
  • 床副子(3 著しく困難なもの)において、腫瘍等により顎骨切除を予定する患者に対する術後即時顎補綴装置を製作した場合は、「術後即時顎補綴装置」と記載し、当該床副子に係る印象採得、咬合採得、装着および床副子の点数をそれぞれ記載する。
  • 床副子調整・修理の「1 床副子調整」の「イ睡眠時無呼吸症候群の治療法としての咬合床の場合」、「ロ イ以外の場合」または「2 床副子修理」を行った場合は、それぞれ「副調(イ)」、「副調(ロ)」または「副修」と記載し、点数を記載する。
  • 周術期専門的口腔衛生処置について、周(Ⅲ)を算定した患者に対して行った場合は、「術口衛(Ⅲ)」と記載し、点数を記載する。
  • 歯根端切除手術における、「2 歯科用3次元エックス線断層撮影装置および手術用顕微鏡を用いた場合」を行う場合は、「根切顕微」と記載し、手術を行った部位、点数(加算を含む。)および回数を記載する。なお、連携する医療機関にて歯科用3次元エックス線断層撮影を撮影した場合は、撮影した医療機関名を「摘要」欄に記載する。
  • 歯周外科手術における歯周ポケット掻爬術、新付着手術、歯肉切除手術、歯肉剥離掻爬手術、歯周組織再生誘導手術および歯肉歯槽粘膜形成手術は、歯周外科手術を行った部位、算定する区分の名称および点数を記載する。

8.「歯冠修復及び欠損補綴」欄について

  • 補綴時診断料は、「補診」の項のうち、欠損補綴物を新製する場合は左欄に、追歯修理または床裏装を実施した場合は右欄に、それぞれ点数および回数を記載する。
  • 追歯修理により補綴時診断料を算定する場合は、「摘要」欄に補診の前回実施年月日を記載する。(初回の場合は1回目と記載)
  • 生PZにおけるブリッジ支台歯形成加算は、項中の「+ ×」欄に加算点数および回数を記載する。
  • 失PZにおけるメタルコアにより支台築造した歯に対する加算は、項中の「+ ×」欄の左欄に、ブリッジ支台歯形成加算は、項中の「+ ×」欄の右欄にその加算点数および回数を記載する。
  • 窩洞形成の複雑なものにおけるブリッジ支台歯形成加算は、複雑なものの下欄に加算点数および回数を記載する。
  • 乳歯冠は、「乳」の項の左欄に乳歯金属冠を、右欄には乳歯に対するジャケット冠を、それぞれ点数(ジャケット冠は人工歯料を除く)および回数を記載する。
  • ジャケット冠は、「その他」の欄に「JC」と記載し、人工歯料を除いた点数および回数を記載する。
  • 歯科技工加算1および2において、歯科技工加算1は「床修理」の項中の「+ ×」欄の左欄に、歯科技工加算2は「床修理」の項中の「+ ×」欄の右欄に加算点数および回数を記載する。
【歯冠修復・欠損補綴の「その他」欄】
  • ファイバーポストを用いた場合は、「その他」欄に、間接法の場合は「ファイバー(間)」と直接法の場合は「ファイバー(直)」と記載し、部位、点数、回数およびファイバーポストの使用本数を部位毎にそれぞれ記載する。
  • 軟質材料を用いた有床義歯内面適合法は、「床適合(軟)」と点数を記載する。
  • 歯科鋳造用14カラット金合金を用いた金属歯冠修復および裏装ポンティックは、「14K」と記載し、修復物の名称、部位、点数および回数を記載する。

9.全体の「その他」欄について

【医学管理について】
  • 診療情報提供料(Ⅰ)の検査・画像情報提供加算について、「イ 退院する患者について、当該患者の退院日の属する月またはその翌月に、必要な情報を提供した場合」は、「情Ⅰ加4イ」と記載し、「摘要」欄に退院日を記載する。
  • 診療情報提供料(Ⅰ)の検査・画像情報提供加算について「ロ 入院中の患者以外の患者について、必要な情報を提供した場合」は、「情Ⅰ加4ロ」と記載する。
  • 電子的診療情報評価料は、「電診情評」と記載し、点数および回数を記載する。
【在宅医療について】
  • 訪問診療の注13に規定する歯科訪問診療料を算定する場合は、「イ 初診時」は「歯訪診(初)」、「ロ 再診時」は「歯訪診(再)」と記載し、点数または点数および回数を記載する。
  • 診療時間が20分未満で歯科訪問診療1を算定した場合は、その理由が分かるように具体的に記載する。
  • 在宅歯科医療推進加算は、「在推進」と記載し、加算点数および回数を記載する。
  • 歯科疾患在宅療養管理料について、文書提供加算、栄養サポートチーム連携加算1または2は「文」、「NST1」または「NST2」と記載し、点数を記載する。なお、栄養サポートチーム連携加算1または2を算定した場合は、「摘要」欄に連携先の保険医療機関名または介護保険施設名およびカンファレンス等に参加した年月日を記載する。
  • 在宅患者歯科治療総合医療管理料(Ⅱ)は、「在歯管(Ⅱ)」と記載し、点数および回数を記載するとともに、当該管理の対象となる医科の主病名を「摘要」欄に記載する。
  • 在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料は、「訪問口腔リハ」と点数および回数を記載し、当該管理の実施日および実施時刻(開始時刻と終了時刻)を「摘要」欄に記載する。訪問口腔リハに係る加算を算定する場合は、「か強診」または「歯援診」と記載し、点数および回数を記載する。
【投薬について】
  • 一般的名称による処方せんの交付は、「一般名処方加算1」または「一般名処方加算2」と記載し、点数および回数を記載する。
  • 外来後発医薬品使用体制加算1または2を算定する場合は、「外後使1」または「外後使2」と記載し、点数および回数を記載する。

10.「摘要」欄について

【医学管理について】
  • 歯科等を標榜する別の保険医療機関に入院する患者に対して歯科訪問診療を行い、周術期口腔機能管理および周術期口腔機能管理に伴う治療行為を行った場合においては、「周術期連携」と記載する。
【在宅医療について】
  • 同一の患家において2人以上の患者を診察(診療時間が20分以上の場合に限る)し、患者の1人に対して歯科訪問診療1を算定する場合は、「同一世帯(1)」と記載する。
【処置について】
  • 暫間固定は、固定を行なった部位およびその方法を記載し、暫間固定の前回実施年月日(初回の場合は1回目と記載)および歯周外科手術を行う予定であるか否かを記載する。
【手術について】
  • 広範囲顎骨支持型装置埋入手術について、当該手術の実施範囲が3分の1顎未満である場合は、「摘要」欄に顎堤欠損の原因となった疾患名を記載する。
【歯冠修復および欠損補綴について】
  • HJCとCAD/CAM冠を大臼歯に用いた場合は、「摘要」欄に金属アレルギー患者の紹介元保険医療機関名を記載する。
  • 後継永久歯が先天的に欠如している乳歯に対して支台築造や金属歯冠修復などを算定する場合は、「摘要」欄に欠如部位を記載する。
  • 未来院請求時またはその保管物装着時において、「歯冠修復及び欠損補綴」欄の記載から当該装着物の種類が明らかに特定できる場合は、「摘要」欄への装着物の種類の記載を省略してよいことになった。「装着予定日」や「装着できなくなった理由」などの記載は従来通り必要。
  • 前回有床義歯を製作した際の印象採得を算定した日から6月が経過していない場合であって新たに有床義歯の印象採得を行った場合は、その理由を記載する。
  • 有床義歯修理において、歯科技工加算2を算定した場合は、「歯技工2」と記載し、「預かり日」および修理を行った当該有床義歯の「装着日」を記載する。
【歯科矯正について】
  • 咬合異常の起因となった疾患名(別に厚生労働大臣が定める疾患または顎変形症)「摘要」欄に記載する。

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