歯科診療報酬改定情報(3)

 12月21日、塩崎厚労大臣と麻生財務大臣との折衝で、4月診療報酬改定の改定率が決まった。薬価引き下げ分の財源は、技術料評価にかかわる本体部分にはほとんど充当されず、また発表された改定率の外枠で医療費削減が行われており、全体では実質マイナス1.43%と、安倍政権下で2回連続のマイナス改定となった。
 歯科本体の改定率はプラス0.61%とわずかに引き上げられるが、前々回のプラス1.70%の改定率と比較して3分の1程度と厳しいものとなっており、歯科医療機関の経営改善には程遠いと言わざるを得ない。なお「医科:歯科:調剤」の配分比率は、医療費に占める技術料の割合が高い歯科は考慮され、前回同様「1:1.1:0.3」となっている。

中医協では個別事項について診療側・支払側から意見


 12月25日に開かれた中医協では、診療報酬改定率について報告がされ、診療側の中川委員(日医副会長)からは、2回連続で薬価財源が本体に充当されなかったことや、自然増を機械的に年間5千億円に抑えるとしたことに対して、既成事実化しないよう要望がされた。
 また、診療報酬改定について診療側・支払側から意見が出された。歯科について診療側は、口腔機能の維持・向上により国民のQOL改善と健康寿命延伸を目指すことを基本的考えとし、初再診料の引き上げ、歯科固有の技術に対するさらなる評価、新規技術の積極的導入と適切な評価、かかりつけ歯科医機能を生かした歯科医療技術の評価、医科・歯科連携や病院との連携の評価、在宅歯科医療の充実などを求めた。
 一方支払側からは、かかりつけ歯科医機能の評価は、高い機能を発揮している歯科医療機関のみ評価すべきであること、外来環の初診料と再診料の点数配分の見直しは次期改定で行うべきでないこと、歯科訪問診療3の評価の適正化などの意見が出された。
 なお、診療報酬改定にあたり、中医協委員が医療現場や患者・国民の声を聴く公聴会を、1月22日(金)午後1時~3時に、さいたま市で開催することが報告された。例年のスケジュールであれば、1月中旬~下旬には厚労大臣から中医協に諮問がされ、パブコメの募集が行われる予定。

4月の保険導入に合わせ、舌圧測定器が保険収載に


 12月25日の中医協では、医療機器の保険収載についても検討がされた。
歯科では“新たな機能区分が必要で、それを用いる技術が評価されていない”カテゴリーの「C2区分」で、「JMS舌圧測定器」、「同測定器舌圧プローブ」、「同測定器連結チューブ」が、4月から保険収載されることが了承された。
 これは診療報酬改定の論点として挙げられている舌圧測定の保険導入に合わせたもので、特定保険医療材料としての価格は設けられず、4月から新設される新規技術料で保険請求を行うこととなる。

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