電子レセプト請求における算定日情報の留意点

 2012年4月診療分から、電子請求を行っている医療機関のレセプト「摘要」欄に、請求する各点数の算定日が記載されている。これによって算定日ごとに、どのような処置や検査が行われているのか、判断ができるようになった。このため、算定要件に合った請求がされているか、審査支払機関で容易にチェックができる仕組みとなっている。
 今年3月診療分(4月請求分)までは、電子レセプト請求義務化の猶予期間となっている。そのため現在は、紙レセプト請求と電子レセプト請求が混在しており、算定日記載の有無によって両請求に不公平が生じないよう、算定日記載によってチェックがかかったレセプトは、返戻での対応(一部の項目のみ査定処理)がされている。しかし、レセプト電子請求が原則義務化となる今年4月以降は、査定処理が増加するのではないかと予想される。さらに今後、歯科医学的な判断が必要な事項についても審査が行われるようになれば、返戻・減点が大幅に増える可能性もある。算定日記載のあるレセプトは、所見のないカルテに等しいものである。
 別表では、算定日情報のチェックによって、返戻・減点になりうる事例について紹介する。別表の例も含めて、審査で査定される項目の多くは、診療報酬点数表の告示・通知や指針、薬剤の添付文書などで、算定回数の上限や併算定の取り扱いなど、算定のルールが定められているものである。保険医自身がこれらの算定ルールに、より精通することが、無用な返戻・減点を防ぐために最も有効な対策となる。
 算定要件や治療の流れなどについては、日常診療において確認していただき、不明な点などがある場合には、保険医協会までお問い合わせいただきたい。また、返戻・減点で納得のいかない場合には、国保連合会や支払基金に直接問い合わせて確認することも、正確な算定ルールの理解にとって有効である。

【算定日情報により請求上の誤りが指摘される事例】
歯科疾患管理料と同日でないフッ化物洗口指導加算(F洗)の算定
初回の歯科疾患管理料が算定される前の機械的歯面清掃処置の算定
歯周疾患由来の切開と同日に行った歯周病検査の算定
スケーリングやSRP後に同日に行った歯周病検査の算定
SPT算定と同日の機械的歯面清掃処置の算定
SPT開始後のP処置、P基処、歯周基本治療の算定
同日に処置等の算定がなく、一連の撮影であるパノラマ撮影とデンタル撮影それぞれの電子画像管理加算の算定
歯冠形成と同日の知覚過敏処置の算定
KP、生PZと同日の浸潤麻酔の算定
抜歯と同日に行った同部位の歯槽骨整形術の算定
歯周外科手術と同日に行った同部位の小帯切除術の算定
支台築造と同日のう蝕処置の算定
P処置と同日に行った同部位のスケーリングの算定
歯冠形成前のTeCの算定
歯周精密検査前の歯周治療用装置の算定

※他にも、歯周疾患治療において、スケーリング・SRP後に短期間で行われる歯周病検査や、同部位に頻繁に繰り返される歯周外科治療など、歯科医学的に疑義が生じる事例についても指摘される可能性があります。

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