診療報酬の不合理是正求め、厚労省に要請、懇談
~保団連中央行動で
6月12日、協会は診療報酬改定による不合理是正問題について国会内の会議室で厚労省保険局医療課の担当官と一時間余り懇談した。5月に実施したアンケートなどをもとに作成した14項目の要請項目(下記参照)をもとに実施したもの。この場では会員アンケートで寄せられた各科にわたる貴重な意見を当局に届けるとともに、批判の多い同一建物居住者への訪問診療の問題などをめぐって突っ込んだやり取りも行い、医療現場の声を届け、改善を要望する場となった。
訪問診療の「記録表」廃止などを要望
応対したのは診療報酬改定を担当する厚生労働省保険局医療課の櫻本恭司氏。協会からは、野村博彦社保学術部長をはじめ、斉藤・小林副理事長、松森理事、事務局など合わせて10人が出席した。
櫻本氏は、始めに「いただいた要望全体についてこの場で明確な是非を答えることは出来ないが、次回の改定に向けた見直しに反映させたい」と述べ、各項目についての考えを述べた。
同一建物居住者に対する訪問診療料や在宅時医学総合管理料を大幅に引き下げたことについて櫻本氏は、「集合住宅などへの訪問診療について『不適切な事例』が表面化したことに対して中医協で対応策を検討した結果、(1)過剰診療が行われていないか、(2)患者の囲い込みをしていないか、が問われ、対応した」と述べ、廃止を要望している記録表(別紙様式14)については、「算定対象者が本当に通院困難といえるのかを含めて実態を把握し検証するために必要」と、現段階で廃止するつもりのない考えを表明した。協会側からは、厚労省の対応が二転三転したこともあって、現場が大混乱している状況を紹介し、記録表の廃止を求めた。
また、強化型在宅支援診療所等の施設基準について、直近1年間の実績要件の見直しなどを求めた。
地域包括診療料も廃止を要望
地域包括診療料を廃止することについて櫻本氏は、「算定するかどうかは各医療機関が個々に判断できる仕組みなので、嫌なら医療機関が止めれば済む」と廃止要求への異論を述べた。協会からは、登録制による人頭払い制に向かう危険を指摘し、廃止を要望した。
このほか、うがい薬等の保険外しの問題、リハビリテーション、帝王切開の手術料、入院医療の問題など全ての項目について、やり取りをした。また、アンケートで要望の高かった消費税増税の対応について改めてゼロ税率の適用を要望したことについては、税制抜本改革の中で検討されると述べるにとどまった。
今回の診療報酬改定に対する要望
1.同一建物居住者に対する在宅患者訪問診療料、特に在宅時医学総合管理料、特定施設入居時医学総合管理料の大幅な引き下げを見直してください。少なくともグループホームについては改定前に戻してください。
2.同一建物居住者のレセプトへ添付する記録表(様式14)は廃止してください。
3.在宅自己注射指導管理料の引き下げを見直し、改定前に戻してください。
4.強化型在宅療養支援診療所・同病院、在宅療養実績加算の算定要件にある緊急往診と看取りの要件を見直してください。少なくとも、直近1年間の実績を求める方式を前年1~12月までの実績とする方式に改めてください。
5.医療評価を患者単位で包括する地域包括診療料を廃止してください。
6.介護保険のリハビリテーションへの移行推進を止めてください。
7.「うがい薬のみを投薬した場合」の保険外しをやめてください。
8.帝王切開の手術料を改定前に戻してください。
9.短期滞在手術等基本料3のDRG/PPS化をやめてください。
10.救急医療管理加算にかかる評価引き下げをやめ、改定前に戻してください。
11.地域包括ケア病棟入院料等の包括範囲からリハビリテーションや手術を除外してください。
12.医薬品卸売販売業者との納入価妥結率が低い場合に初再診料等を大幅に減算する仕組みを廃止してください。
13.消費税引き上げ分を初再診料などに上乗せするやり方をやめ、医療保険についてはゼロ税率を適用してください。
14.今次改定で発生した混乱を一刻も早く収束し、分かりやすい解釈を示すとともに、次回改定以降は実施日の3カ月前に改定内容を示してください。 以上