勤務医の会が勤務医の労働環境問題で講演会

労働環境改善のために労働基準法から学ぶ

 協会勤務医の会は、10月31日(土)午後、協会伏見会議室で、「勤務医が学ぶ労働基準法―何から改善して行けば良いのか―」をテーマに講演会を開催した。参加者は22人。
 講師は、名古屋E&J法律事務所籠橋隆明弁護士、西川研一弁護士。
 講演では、勤務医の労働形態の実態と問題点について、通常勤務、宿直・日直勤務、オンコール(宅直勤務)の場合について検討。また、36協定に関しては、上限基準を超えた取り決めも有効であり、しばしば使用者と労働者との関係で決定されてしまう面があることも指摘があった。
 何から改善すべきかについては、医師の仕事の特殊性はあるものの勤務医の労働条件の改善は絶対必要であること、またその場合には労働法規が基準となるべきであること、問題は個別の労使関係だけでなく経営努力では如何ともし難い診療報酬等の社会的側面があること、医療再建の一環として社会的認知を獲得し、運動の広がりをつくることが提案された。
 講演の後は、1時間の時間を割いて質疑や意見交換を行った。
参加者からは、雇われ所長の問題や教育職に就く勤務医の問題等が提起された。また、管理者の立場から労働法規を守る観点から3交代制が望ましいが現実として難しい点、また医師が置かれる状況が今と昔では違う点等が意見として出された。
 講師からは、これまで医師の使命感、倫理観で支えられ、長時間勤務が常態化している医療現場ではあるが、働いた以上はその分賃金を払う、やってはならないことはやらないという事をしてこなかったために、医療危機を招いたとの指摘もあった。
 そして、今後の具体的な方策として、まず病院と勤務医が労働契約を行う中で納得の過程を作るべきで、その後生まれる矛盾に関して問題を共有することが大切であること、また医療へコストをかけるべきだという認識が、社会に広まるよう訴えていくことが必要であるとの話がされた。
 講演、意見交換を通して管理者も勤務する医師もともに学ぶ内容となり、非常に有意義な会となった。
 講演の詳細については、11月25日号に掲載を予定している。また、勤務医の会では、今後も勤務医の労働環境に関する講演会、勉強会を開催する予定であり、ぜひ協力をお願いしたい。

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