歯科診療報酬改定情報(6)

歯科診療報酬改定の要点

1.消費税率引き上げに伴う基本診療料の引き上げと加算点数の見直し

 

2.歯科疾患管理料における情報提供の要件の見直し

・歯科疾患管理料の文書提供について、患者またはその家族が、管理計画書の備考欄に、文書提供が次回来院以降不要である旨の内容を記載した場合は、2回目以降の継続管理計画書は前回の提供日から起算して4カ月を超えても良い取り扱いとなった。

3.周術期における口腔機能の管理等、医療機関相互の連携

 

4.在宅歯科医療の推進

・歯科訪問診療料の算定区分が同一建物内の診療人数および時間とで3つに分かれた。同一建物1人のみ(20分以上診療)の場合は歯科訪問診療1を、同一建物2人から9人以内で、そのうち20分以上診療した患者には歯科訪問診療2を算定する。また同一建物10人以上診療した場合は新設された歯科訪問診療3を算定する。診療時間が20分未満の患者については、診療人数にかかわらず歯科訪問診療3で算定する。
 

・在宅患者等急性歯科疾患対応加算が3区分から2区分に変更され、同一建物居住者の場合は人数にかかわらず55点で算定する。
・訪問診療で在宅や施設で一人のみを診療する医療機関(施設基準有り・要届出)への評価として、歯科訪問診療1に在宅かかりつけ歯科診療加算100点が新設された。
・施設などで歯科訪問診療2・3を算定する場合、1)患者または家族、2)介護施設職員等のいずれかに、歯科訪問診療を行った日時および歯科医師の氏名を記載した情報提供文書が必要になった。

5.生活の質に配慮した歯科医療の充実

・乳臼歯の早期喪失症例に対する小児保隙装置(クラウンループまたはバンドループ)600点が新設された。
・小児義歯の適用に「外傷によって歯が喪失した場合」が加えられた。
・新製有床義歯管理料(義管A)は、困難加算と有床義歯調整管理料(義調)が包括され、「困難な場合」230点と「困難な場合以外」の190点に再編された。
・有床義歯管理料(義管B)、有床義歯長期管理料(義管C)、困難加算、義調については、新設された歯科口腔リハビリテーション料1に再編され、有床義歯の「困難な場合」120点と「困難な場合以外」100点で算定することとされた。
 

・舌接触補助床などの床装置を用いた訓練を行った場合は、歯科口腔リハビリテーション料1(舌接触補助床190点・月4回)を算定する。
なお、舌接触補助床は床副子の「著しく困難なもの」から独立し、新製した場合と既に装着している有床義歯を用いた場合とに区分が分かれた。
・顎関節治療用装置を用いて指導、訓練を行った場合は、歯科口腔リハビリテーション料2(50点・月1回)を算定する(施設基準有り・要届出)。

6.歯の喪失のリスク増加に着目した対応

・歯周病安定期治療(SPT)の算定単位が歯数に応じて3つに変更され、適用対象となる症状から「根分岐部病変を有する」との条件が外れた。
 

・歯周治療用装置の算定要件からFOp、GEctまたはGTRの実施が外され、歯周精密検査を算定した患者に緩和された。
・以下の歯周治療関連の点数が改定された。
 

・フッ化物歯面塗布処置(1口腔につき3カ月に1回、80点)が新設され、歯管の加算点数であったフッ化物局所応用加算(F局)から移行されるとともに、適用対象が在宅等で療養を行っている者の初期根面う蝕にも拡大された。
・う蝕多発傾向者の年齢区分や処置歯の数が見直され適用対象が拡大された。
 

・根管貼薬処置について、「診療報酬請求書等の記載要領」において、長期的に行われる同一歯に対する根管貼薬処置に関する取り扱いを記載。
・加圧根充加算が独立点数になった。
 

・以下の歯冠修復・欠損補綴の点数が改定された。
 

・二腕鉤の維持腕と拮抗腕にそれぞれ鋳造鉤と線鉤を組み合わせて製作した場合は、新設されたコンビネーション鉤220点を算定する。

7.先進技術の保険導入

・歯冠補綴物の設計・製作に要するコンピュータ支援設計・製造ユニット(歯科用CAD/CAM装置)を用いて設計・製作し、装着した歯冠補綴物(小臼歯の全部被覆冠に限る)(施設基準有り・要届出)。特定保険医療材料料は別に算定する。
 

・歯科用CTおよび手術用顕微鏡を用いた歯根端切除手術
 

8.その他

・歯科矯正用アンカースクリューを用いた歯科矯正治療が給付対象となった。
 

・保険医療機関は、事業者またはその従業者に対する経済上の利益の提供により、患者紹介を受けることを禁止する旨が、療養担当規則に明記された。

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