中医協で課題と論点を提示
来年四月の診療報酬改定の議論が進んでいる。社会保障審議会医療保険部会と医療部会で、「2014年診療報酬改定の基本方針」が12月上旬までにまとめられ、改定率は来年度予算が決まる12月中・下旬には決定される。「基本方針」案には、重点課題として「在宅歯科医療の推進」、充実が求められる分野に「口腔機能の維持・向上を図るとともに、生活の質に配慮した歯科医療の推進」が盛り込まれている。
具体的な改定内容を検討する中医協は週2回のペースで開催され、従来のスケジュールでは、来年1月中旬に諮問、地方公聴会の開催やパブリックコメントの募集を経て、2月中旬に答申となる予定である。
歯科訪問診療2の評価を見直し
歯科医療に関しては、10月30日の中医協で在宅歯科医療に係る課題と論点が提示された。その内容は、(1)在宅(歯科訪問診療1)を中心に取り組んでいる在宅療養支援歯科診療所(歯援診)の評価、(2)介護施設等で複数患者に行われる歯科訪問診療2の評価や取り扱い等、(3)診療時間が20分未満の場合の基本診療料を算定する取り扱い、(4)歯科訪問診療に係る医科医療機関と歯科医療機関との連携――の4点。歯援診の届出医療機関が約7%にとどまっていること、主として同一建物居住者に行う歯科訪問診療2を実施している医療機関の一部で、過度な診療が行われていることなどの資料が示された。
なお、同日の中医協ではマスコミで取り上げられ問題となっていた民間業者が患者紹介の代償として紹介料を受け取る「患者紹介ビジネス」についても議論がされ、療養担当規則を改定し、保険医療機関が紹介を受ける代償として、紹介料等の経済上の利益を提供することを禁止する方向で、おおむね了承がされた。
11月22日に歯科医療全般を集中議論
11月22日の中医協では、在宅を除く歯科医療全般について、厚労省から課題と論点が示された。
「全身的な疾患を有する者への対応について」では、(1)医科医療機関で手術を予定している患者等に対して、適切に周術期口腔機能管理を提供するために、医科診療報酬上での評価等についてどのような対応が考えられるか、(2)歯科診療で特別な対応を必要とする者に対して、歯科診療の質を担保しつつ、診療に時間がかかる場合等の課題に対応するために、歯科診療特別対応連携加算届出施設の施設基準や当該施設で行われた長時間の歯科診療の評価について、どのような対応が考えられるか、(3)患者に対して安心な歯科医療を提供する観点から、財政影響を考慮しつつ、再診時の歯科外来診療環境体制加算の評価について、また、当該加算の施設基準について、歯科医師臨床研修施設であることも考慮してはどうか――の3点が論点として出された。
周術期口腔機能管理については、前回の診療報酬改定結果検証に係る調査結果も示され、堀委員(日歯常務理事)からは、歯科併設でない病院との連携がすすむような評価を求めるとともに、特別対応の加算率の見直しなどを求める意見が出された。
「各ライフステージの口腔機能の変化に着目した対応について(加齢による口腔機能の変化への対応について)」の論点では、(1)小児期において、正常な口腔機能の獲得・成長発育を促すため、乳歯の早期喪失等について、どのような対応が考えられるか、(2)成人期以降において、口腔機能の維持・向上を図るために、舌接触補助床等に関する調整を含めた訓練の評価や歯周治療装置の要件について、どのように考えるか、(3)有床義歯の管理や調整等、口腔機能の維持・向上に着目した評価について、患者の視点も踏まえつつ、どのような対応が考えられるか――の3点。
厚労省の資料では、小児義歯の適応が先天性疾患に伴う症例に限定されていること、歯周治療用装置の装着にあたっては必ずしも歯周外科手術が必須とまでは言えないこと、有床義歯の管理と調整が混在し評価体系が複雑であることなどが記述されている。
また「歯の喪失のリスク増加に伴う対応について(歯の保存に資する技術等について)」では、(1)歯周病安定期治療の評価体系の見直しを含め、歯周病治療の評価の見直し等についてどのように考えるか、(2)根面う蝕に対する非侵襲的な処置を含め、高齢者における歯の喪失リスクへの対応について、どのように考えるか、(3)歯の保存に資する根管治療に四根管の評価を新たに設定すること等、歯内治療の評価についてどのように考えるか――の3点が提案された。
議論の中で厚労省の田口歯科医療管理官は、「歯周病安定期治療については歯の本数で考えていきたい」と述べた他、根面う蝕については、「現行ではフッ化物の応用ということだが、指導管理が必要ということであれば評価も検討したい」などと述べた。