個別指導での主な指摘事項(2)

個別指導での主な指摘事項(2)

 前回に続き、昨年の個別指導で指摘された主な事項について掲載する。カルテ記載や日常診療を見直す際の参考にしていただきたい。
(前回はこちら)

【検査】

・必要性に乏しい顎運動関連検査(チェックバイト検査)が散見された。
・歯周基本検査において、算定要件(ポケット測定1点以上、動揺度)を満たしていない例が認められた。
・切開と同日、P急発時、Perico発症時の歯周病検査は認められないので改めること。

【画像診断】

・デンタル、パノラマ、その他のエックス写真で不鮮明、現像不備、目的部位の撮影がされていない例が認められた。
・写真診断の所見を診療録に記載せずに、診断料を算定していた例が認められた。
・写真診断の所見について、診療録への記載が乏しい例が認められた。

【投薬】

・薬事法の適応、用法、用量を遵守すること。
・適応外、過量、用法外、画一的な薬剤投与が認められた。
・適切に治療効果判定を行い、漫然と投与することがないよう改めること。
・病名、症状、経過、年齢を考慮した上で、適切に薬剤投与を行うこと。

【処置】

・算定要件を満たさない有床義歯床下粘膜調整処置が認められた。
・算定要件を満たさない加圧根管充填加算が認められた。
・根管充填後にエックス線撮影を行っていない例が認められたので、加圧根管充填加算を算定する際はエックス線撮影を行い、状態の確認をした上で算定するよう改めること。
・歯冠修復物又は補綴物の除去(切断)に際しては、その必要性について十分検討すること。
・検査結果、臨床所見等から判断して必要性が認められない暫間固定(簡単なもの、困難なもの、著しく困難なもの)が行われていた。

【歯周治療】

・「歯周病の診断と治療に関する指針」を参照し、歯科医学的に妥当適切な診療を行うこと。
・歯周病検査の検査結果に基づき、歯周疾患の診断を的確に行うこと。
・歯周疾患の治療を行う際は、治療計画を策定し、それに基づき治療を行うこと。
・歯周病に係る症状、所見の診療録記載が乏しく、診断根拠や治療方針が不明確である。
・病的安定、治癒の判断、治療計画の修正が的確に行われていない。
・検査結果、臨床所見等から判断して必要性が認められないスケーリング、PCur、SRPが行われていた。
・スケーリング、PCur、SRPから次の歯周病検査までの間隔が短く、歯科医学的に妥当適切でない事例が認められた。
・歯冠修復、ブリッジ、有床義歯と並行する不適切な歯周治療が認められた。
・歯周治療終了後、歯周組織の治癒状態を勘案して歯冠修復の可否を検討すること。

【手術】

・手術を行った際、診療録への手術部位、所見、手術内容の要点の未記載が認められたので、記載するように改めること。
・手術を行った際、診療録への記載が不十分であるので記載内容を吟味し充実を図ること。
・臨床所見等から判断して必要性が認められない手術が認められた。
・算定要件を満たしていない難抜歯を算定していた例が認められた。

【歯冠修復及び欠損補綴】

・診療録への医療情報の記載に関して充実を図ること。
・診療録に欠損補綴物の名称及び設計を記載せずに補綴時診断料を算定していた例が認められた。
・診療録へ製作を予定している部位、欠損の状態、欠損補綴物の名称及び設計の未記載が認められたので記載するよう改めること。
・診療録への記載が不十分であるので記載内容を吟味し充実を図ること。
・クラウン・ブリッジ維持管理に係る案内書を提供する際は、患者が理解できる言葉を用いること。

【在宅医療】

・患者の状態や聴取した内容を踏まえ、歯科訪問診療の必要性を十分に検討すること。
・患者の病状に基づいた訪問診療計画の診療録への記載について、内容が乏しいので記載内容を吟味し充実を図ること。

【その他】

・診療録と診療報酬明細書の間で診療内容、部位、傷病名、所定点数、合計点数について不一致が認められたので、照合・確認を十分に行うこと。
・関係資料の未持参が認められたので、指示されたものは必ず持参すること。
・一部負担金の徴収について、誤り(徴収すべき者から徴収していない、計算方法が間違っている、診療録の金額と不一致)が認められた。
・吸入鎮静法(笑気他)の適応症を十分検討すること。

(おわり)

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