個別指導での主な指摘事項(1)
協会では、昨年度の指導実施件数や今年度の指導計画などについて、東海北陸厚生局に情報開示請求を行っている。開示がされ次第、保険医新聞で掲載を行う予定であるが、今回は昨年の個別指導で指摘された主な事項について掲載する。個々の事例について具体的には示されていないが、すでに今年度の個別指導も始まっており、カルテ記載や日常診療を見直す際の参考にしていただきたい。
【診療録】
・診療録は保険請求の根拠であることを認識し、必要事項の記載を十分に行うこと。
・コンピューター等OA機器により診療録を作成する場合は、診療の都度、診療内容を確認し、署名(記名押印)を行うこと。
・慢性歯周疾患を傷病名欄に記載する際は、歯周疾患の進行の度合を省略することなく、記載すること。(P1、P2、P3と分けて部位ごとに記載すること)
・傷病名は、症状所見、検査結果等から判断し、適切な診断名を付与すること。
・診療行為の手順通りに診療録に記載すること。
・診療録で行間を空けた記載が認められた。
・診療録で欄外への記載が認められた。
・診療録で1行内に複数行の記載が認められた。
・診療録で独自の略称の記載が認められた。
・診療録で不適切な診療録の訂正が認められた。
・診療録(1号用紙)の主訴・傷病名・口腔内所見・開始・終了・転帰に係る記載を的確に行うこと。
・診療録(2号用紙)の記載内容について不十分であるので充実を図ること。
・診療録に、種別・使用材料・使用金属・使用薬剤を記載すること。
・保険から自費に移行した場合は、診療録に自費に移行した旨を記載すること。
・診療日毎、診療録に一部負担金を記入すること。
・診療録の整理・保管が適切でないので改めること。
・再初診時、年度毎に診療録を別に新製しないよう改めること。
・診療録・2号用紙はのり付けする等により診療録の飛散を防止し、一括保管に努めること。
・診療録を鉛筆で記載する例が認められた。
・診療録の記載した内容が判読困難な例が認められた。
【歯科技工指示書】
・歯科技工指示書の記載内容(設計、製作方法、使用材料、発行年月日、歯科医師の住所及び氏名、歯科技工所の名称)に不備が認められた。
【初・再診料】
・障害者加算を算定しているにもかかわらず、診療録に算定した日の患者の状態を記載していないものが認められた。
・同一疾患の継続治療時にも関わらず、初診料を算定していた例が認められた。
【歯科疾患管理料】
・管理計画書(提供年月日、患者又はその家族が記入する歯科疾患と関連性のある生活習慣の状況、生活習慣の改善目標、患者の基本状況、口腔内の状態、必要に応じて実施した検査結果等の要点、歯科疾患と全身の健康との関係、治療方針の概要、保険医療機関名、当該管理の担当歯科医師名等)の未記載が認められた。
・継続管理計画書に口腔内の状態の改善状況の未記載が認められた。
・管理計画書、継続管理計画書の記載が不十分であるので、記載内容を吟味し充実を図ること。
・2回目以降の継続管理計画書の提供に際し、提供時期(管理計画書の内容に変更があった時、検査による疾患の症状が一時的に安定したと判断される時、一連の補綴治療が終了した時、その他療養上必要な時、当該管理計画に変更がなく前回の管理計画書の提供日から起算して4カ月を超える日までに1回以上提供、歯周病安定期治療実施時の間隔が4カ月を超えた場合)であるにもかかわらず提供されていない例が認められた。
・歯科疾患管理料を算定する際は、継続的な口腔管理を行う患者であるか適切に評価するよう改めること。
・診療実日数が1日で終了し、継続的な口腔管理を行わないにもかかわらず、歯科疾患管理料を算定していた例が認められた。
・継続管理を必要としない患者に対し、歯科疾患管理料を算定。
・管理計画書は1口腔単位で記入、作成すること。
・管理計画書の患者または家族が記入すべき項目に留意すること。
【歯科衛生実地指導料】
・歯科衛生士に指示した指導内容の要点を診療録に記載していない例が認められた。
【新製有床義歯管理料】
・1回目の新製有床義歯管理料を算定した際に、文書提供していない、文書内容の未記載(欠損の状態、指導内容、保存・清掃の要点、保険医療機関、担当歯科医師氏名)が認められた。
・新製有床義歯管理料を算定した際に、提供文書の写しがない例が認められた。
【有床義歯管理料】
・診療録に要点(必要に応じて実施した検査の結果、調整方法、調整部位、義歯に係る指導内容)の未記載が認められた。
・診療録への記載が不十分であるので、記載内容を吟味し充実を図ること。
【有床義歯調整管理料】
・診療録に有床義歯の調整方法、調整部位の記載していない例が認められた。
・診療録への記載が不十分であるので、記載内容を吟味し充実を図ること。
(つづく)