審査、指導で改善要望を提出

審査、指導で改善要望~厚生局・基金・連合会等に~

 協会は請求・審査・指導に関する39項目の改善要望をまとめ、11月13日付けで東海北陸厚生局などに提出した。
 これは昨年実施した審査指導アンケートを踏まえたもので、宛先は厚生局指導監査課、愛知県医務国保課、支払基金愛知支部、愛知県国保連合会。また、保険者にかかわる要望のみ、協会けんぽ愛知支部、愛知県後期高齢者医療広域連合にも送付した。
 審査については、支払基金が2012年3月から始めた突合点検・縦覧点検を含めてコンピュータを使った審査強化がはかられており、要望では、主治医の裁量を尊重するよう求めた。
 また、審査指導アンケートの結果からも診療月から6カ月以上を経過したレセプトの返戻・査定が増えていることがうかがわれるため、「保険者への再審査請求は保険者への送付から6カ月を超えたものについては原審通りの取扱いとしてください」と要望した。
 指導については、高点数を選定基準とする集団的個別指導の廃止、少なくとも個別指導との連動をしないように求めている。
 要望では文書での回答を求め、それをもとに今後、懇談を行う予定だ。

<請求、審査、指導等に関する改善の要望事項>
☆支払基金愛知支部と愛知県国保連合会に向けて
(審査に関する事項)
1.審査の基準を明確にし、公開してください。長年認められてきた基準を審査会として認めないように変更する場合には3カ月以上の周知期間を設けてください。
2.病名漏れが推定される場合には、照会、返戻により処理してください。減点する場合には再審査請求により即復活する処理をしてください。
3.減点する場合は、一方的な“即減点”を行わず、先ず、文書による注意、照会又は返戻による対応を行うよう一層徹底してください。
4.減点箇所、理由は記号のみではなく内容も記載し、再審査請求を原審通りとする場合もその理由を文書により明らかにしてください。
5.減点理由について医療機関から照会があった場合には懇切丁寧に対応してください。
6.薬剤の審査に当たっては、「機械的な適応主義をとらず、薬理作用を重視したものとする」とした姿勢を引き続き堅持してください。
7.点数表・厚労省通知に算定制限のない事項については、主治医の裁量を尊重してください。
8.突合・縦覧点検などコンピュータによる審査強化にあたっては、主治医の裁量権を尊重してください。突合点検結果連絡書の到着時点で内容が分かるものについては返戻依頼や再審査請求ができるようにしてください。

(再審査請求に関する事項)
9.医療機関からの再審査請求の結果は文書により分かりやすく知らせてください。とくに、原審通りとする場合は、審査結果に至った理由など医療機関が納得できるように文書で明らかにしてください。
10.医療機関からの再審査請求処理や返戻依頼を迅速に行うため、保険者の明細書原本の提出期限を審査機関の依頼日から14日以内と定めるよう関係機関に働きかけてください。
11.保険者が明細書返戻依頼を受理した日から14日以内に明細書を提出しない場合は、保険者の責任であるとし、医療機関の再審査請求を認め、復活処理とするようにしてください。
12.保険者からの再審査請求は保険者への送付から6カ月を超えたものについては原審通りの取扱いとしてください。

(面接懇談について)
13.面接懇談については、文書等による注意を行ったうえで行うなど必要最小限としてください。
14.面接懇談については、保険医の任意の協力によるものという前提に立ち、日程・時間帯の設定について配慮してください。
15.面接懇談においては、保険医の理解と納得が得られるよう根拠や基準を示しつつ、懇切丁寧に対応してください。

☆東海北陸厚生局指導監査課と愛知県に向けて
(保険者に関する事項)
16.受診に支障をきたさないよう被保険者証の交付・回収については速やかに行うよう指導してください。事業所で交付・回収が適切に行われるよう監督してください。カード式の場合は被扶養者(家族)が資格喪失した場合の回収も徹底してください。
17.無資格受診の返戻は、保険証回収後の受診分に限定し、その処理を早く行うように指導してください。月初めに保険証を確認した場合、その月途中での資格喪失後受診分については保険者の  責任で解決し、返戻・減点しない取り扱いを徹底してください。また、資格喪失後は速やかに保  険証を返し、絶対に無資格受診をしないように保険者から被保険者への指導を強めてください。
18.保険証の被扶養者欄に資格取得年月日・資格喪失日を明記してください。また、資格確認のための医療機関からの電話による照会には親切に回答してください。
19.診療報酬明細書は重要な個人情報であるので点検業務の外部委託は行わないように指導してください。
20.受診を抑制し、医師と患者の信頼関係を損なう医療費通知は止めてください。また、医療費通知業務を民間業者委託しないように指導してください。
21.審査により一部負担金額に減額が生じた場合の被保険者への通知は、再審査結果が出る前にはしないでください。
22.必要な受診を著しく抑制する国保の資格証明書は発行しないでください。

(指導に関する事項)
23.指導は、行政手続法に基づき実施するよう徹底してください。
24.指導は、「指導大綱」に明記されているとおり「懇切丁寧に行う」こととし、指導を受ける側が「威圧的」「官僚的」と感じるような指導は絶対に行わないようにしてください。
25.高点数を選定基準とする集団的個別指導を廃止してください。少なくとも集団的個別指導を個別指導とは連動させないでください。
26.個別指導に際しては、医師会・歯科医師会の立会者の他に、被指導者の希望する者(医師等)の帯同を認めてください。
27.指導の開催日時は指導対象者の事情を配慮して設定してください。
28.指導の通知は遅くとも1カ月前に保険医が確認できるようにしてください。
29.個別指導については被指導者に対して選定理由を明示して通知するようにしてください。
30.個別指導に持参する資料の種類は必要最低限に減らしてください。
31.個別指導に持参する診療録等の対象者リストは指導日の1週間前には指導通知と同様の方法で通知してください。
32.個別指導の指摘事項については、基準、根拠を示すなど、保険医が納得できるものとしてください。
33.個別指導後の自主返還については保険医の自主性を尊重してください。
34.新規の個別指導は開業後6カ月以内に行ってください。また、より教育的観点から自主返還は求めないでください。
35.診療報酬改定時の説明会開催にあたっては、改定内容を分かりやすく説明するよう内容を充実し、診療時間と重ならない時間設定にするなどの改善を行ってください。
36.監査による保険医療機関の取消期間は一律5年ではなく、2年を上限としてください。

(その他、適時調査や会計検査院の指摘事項にもとづく確認調査について)
37.適時調査による指摘事項にもとづく自主返還は個別指導と同様に原則1年としてください。
38.会計検査院の指摘事項について、医療保険と介護保険の給付調整にかかわる問題など本来行政側が複雑な制度を改善すべき点や、解釈が不明確であるなどの告示・通知の不備が原因である場合は、制度や通知文などを改善するよう厚労省などの関係行政機関に働きかけてください。また、分かりづらい内容については医療機関に周知徹底してください。
39.会計検査院の指摘事項にもとづく確認調査について、厚労省が発出する通知上の解釈が不明確であったり周知徹底が不充分であるがために結果的に医療機関が請求を誤ったケースが生まれています。こうした場合は、一律に過去2年間さかのぼって自主点検・自主返還を求めないでください。
                                          以上

ページ
トップ