2011年度指導方針示される

2011年度指導方針示される

 東海北陸厚生局から、2011年度の指導方針、2010年度の指導結果の概要などについての情報が開示された。これは、毎年保険医協会が行っている情報開示請求によって開示されたもの。

平均点数は横ばい

 2011年度の指導を選定する際の基準となる愛知県の歯科医療機関の平均点数は1165点と前年(1163点)比プラス2点、全国の平均点数も1262点で前年(1261点)比プラス1点でほぼ横ばいであった。平均点数の推移(表1)を見ると、この10年間余りで平均点数が大きく下がってきていることが分かる。指導対象医療機関を平均点数をもとに選定するという方法が萎縮診療・萎縮請求につながるなど医療機関の請求に影響を与えていることが伺われる。協会では、平均点数のみで対象医療機関を選定することには根拠がないとしてその見直しを求めている。
 

個別指導の実施件数と予定件数

 愛知県における集団的個別指導と個別指導の推移は(表2)のとおり。
2011年度の歯科の集団的個別指導は10月ごろに295件を対象に開催されることが予定されている。集団的個別指導は県内平均点数の1.2倍以上でかつ上位8%以内(前年・前々年に指導を受けた医療機関は除外)の医療機関が対象となる。今年度の平均点数の1.2倍は1398点となるが、上位8%に該当する医療機関はそれよりも少ないため、今年度の集団的個別指導の対象となる医療機関の平均点数は1413点以上である。なお、この平均点数の算出根拠(1年間の全レセプトの平均か、数カ月分を抽出した平均かなど)は示されていない。
 2011年度の個別指導は、147件の実施が予定されている。ただし、この予定件数は厚労省の指導大綱をもとに東海北陸厚生局が決めたもので、昨年度は146件の予定に対し、実際に行われた個別指導は56件にとどまっている。個別指導の実施状況の推移を見ると2008年10月に社会保険事務局から東海北陸厚生局に業務が移管された際に大幅に指導件数が減少したが、徐々に指導件数が増加している。選定理由としては、高点数によるものが最も多く、次いで再指導、情報提供の順となっている。
 高点数とは、集団的個別指導の対象となった医療機関のうち、翌年度の点数が高い医療機関を集団的個別指導の翌々年度に個別指導の対象として選定するというもの。再指導は、指導の結果、再度の指導の必要性を認めたもの。情報提供とは、保険者や審査機関、患者等からの情報提供に基づき行われるもののことをいう。
 

個別指導における指摘事項

 昨年度の個別指導で指摘頻度の高かった項目についても示された。カルテ記載不備についての指摘が多く、歯科疾患管理料や義歯管理料などの医学管理関連、画像診断の所見未記載などが指摘されている。また、歯科疾患管理計画書の内容・提供時期および添付の不備、スケーリング等から次の歯周組織検査までの間隔が短く歯科医学的に妥当・適切と認められないケースなども指摘されている。なお、開示された指摘事項の詳細については、今後、紙面上でお知らせしていく予定だ。
 カルテは診療の根拠となる書類であるため、指導対策としてだけでなく、医療トラブルの際の証拠書類にもなるため、分かりやすく丁寧に記載することが求められる。

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