今年10月から、後発品のある長期収載医薬品(先発医薬品)を処方した場合、先発医薬品と後発医薬品薬価の差額を自費扱いとして患者に負担させる選定療養費の取り扱いが開始となる。
【対象医薬品】
対象となる医薬品については、厚労省のホームページにある「選定療養―対象医薬品リスト」から検索できる。
【対象とならない場合】
対象医薬品リストに収載されていても、歯科医師が、医療上必要があると認めて先発医薬品を処方した場合は、選定療養の対象とはならない。また、後発医薬品を提供することが困難な場合も、選定療養の対象とならない。詳細は、7月12日に発出された「疑義解釈(その1)」を参照のこと。
【院内処方の場合】
歯科医療機関の多くは院内処方であり、採用する医薬品の種類も限られている。
選定療養の対象となる先発医薬品を採用し、対応する後発医薬品を採用していない場合は、先発医薬品を処方しても保険給付の対象となる。
・7月12日付疑義解釈(その1)
▽問7 院内採用品に後発医薬品がない場合は「後発医薬品を提供することが困難な場合」に該当すると考えて保険給付してよいか。
▽(答) 患者が後発医薬品を選択することが出来ないため、従来どおりの保険給付として差し支えない。
選定療養費制度の詳細は、愛知保険医新聞9月15日号3面(9/27訂正)および「歯科保険診療の要点2024年8月」134ページを参照していただきたい。
選定療養の拡大で医療保険が崩壊
今回の選定療養の拡大は、もともと保険収載されている先発医薬品と後発医薬品の差額の一部を自己負担させるものであり、保険収載されているものの一部が、保険から外されるという道理のないものである。
本来の選定療養は、保険収載しない前提で、保険外の治療や技術を、保険治療と組み合わせるものである。つまり、今回の選定療養の「拡大」は、選定療養の「拡大解釈」であり、医薬品の一部保険外しにほかならない。
歯科においては、以前から歯科用金属材料の保険外しが燻っている。実施されれば、丈夫で適合性の高い金属冠などは「選定療養」とされ、患者の経済状態によっては保険治療ができなくなる。
保険医協会は、今後も選定療養拡大に反対する取り組みを続ける。