(愛知保険医新聞2021年11月15日号)
10月31日に投開票が行われた衆議院議員選挙は、自民党が議席を減らし、立憲民主党や共産党も議席を減らす一方で、日本維新の会が改選前から大幅に議席を増やす結果となった。
愛知県保険医協会では、総選挙に向けた方針をもとに、各政党へのアンケートを実施し会員への情報提供を行ったほか、各政党の政策について政策部で学習・検討した。
自民党が議席を減らしたことは、これまでの強引な政権運営や社会保障削減が有権者から批判を受けた結果であり、真摯な反省を求めたい。一方、野党共闘をすすめた立憲民主党や共産党も議席を減らす形となった。野党共闘で候補者の一本化をすすめたことは、小選挙区での接戦区を増やし、62の選挙区で野党統一候補が勝利したことからも一定の効果を発揮したと言える。選挙前に市民連合と野党各党が合意した20項目の政策についても、保険医協会が求めてきた内容と概ね一致しており評価できる。今回の選挙結果は、その内容を十分に有権者に伝えることが出来なかったためであり、野党各党には今後その点での積極的な取り組みを期待したい。
社会保障については、自民党が議席を減らしたものの絶対安定多数を維持したことから、「骨太の方針」などで示された社会保障削減路線が継続されることになる。強硬な新自由主義を主張する維新の会の伸長で更なる改悪が計画される可能性もある。来年の参議院議員選挙に向けて、会員・国民の声を集め国会に届けることが今まで以上に重要だ。
改憲の動きについても警戒が必要だ。自民・公明・維新を合わせた改憲勢力は、衆議院で改憲発議に必要な3分の2を維持した。自民党は総選挙に向けた政策集で「早期の憲法改正を目指します」と明記している。さらに日本維新の会の松井代表は11月2日の会見で「来年の参院選までに改正案を固めて、参院選と同時に国民投票を実施するべきだ」と発言しており、改憲に向けた議論が活発化する可能性がある。参議院では、改憲勢力が3分の2を下回っていることから、来年の参議院議員選挙に向けて、改憲を許さない勢力を伸ばし、参議院で改憲の発議ができない状況を引き続き作ることができるかが重要となる。
保険医協会では、署名活動や懇談などを通じて、社会保障の削減や改憲を許さない運動に引き続き取り組んでいく予定であり、会員の先生方のご協力をお願いしたい。