2021年6月13日

「75歳以上の医療費窓口負担2割化」法案の成立に抗議する

「75歳以上の医療費窓口負担2割化」法案の成立に抗議する 政府は新型コロナウイルス感染症対策に集中を

 6月4日の参議院本会議で「75歳以上の医療費窓口負担2割化」などを内容とする健康保険法等の一部改正案が可決・成立した。当協会は、政府・与党が、高齢者の必要な受診の機会を奪う法案を、受診抑制による健康への影響の検証すらもなく、このコロナ禍の中で成立させたことに厳しく抗議する。
 政府の法案説明資料では、2割負担の対象者を「年収200万円以上」等とした根拠は示されていない。また、負担増による受診控えを年1,050億円と試算していることも明らかになったが、首相は「聞いていない」と答弁するなど無責任な提案であることは言語道断である。
 「2割負担」の対象者の範囲は政令で定めることとされ、今回の法改正でいったん「2割負担」が導入されれば、国会に上程せずにいつでも対象者を拡大できる仕組みも問題である。田村厚労大臣が参院厚労委員会で今回の法案の対象者範囲を「弥縫策」と答弁したことも、今後の際限ない負担増につながる大問題である。
 当協会が取り組んだ2割負担化撤回の署名には、「年金のみの収入で医療費負担が2倍になれば、医者にかかるのを半分にしなければ……。これでは生きていけません。(名古屋市緑区・男性)」「内科・整形外科・眼科に通院し、杖・おむつ・尿取りパッド・通院のタクシー代を払い、年金では生活ギリギリです。主人は『早く死ねと言うことか。今まで税金を納めてきたのに悔しい』と言っています。(知多市・女性)」など、悲痛な声が添えられている。政府は、これらの声に向き合い、高齢者への負担増をやめるべきである。
 コロナ禍のいま、政府・国会が全力を上げなければならないのは、国民の生活、生業の保障であり、病床や検査体制の確保、速やかなワクチン接種など医療提供体制を立て直すことであって、断じて「2割化」導入ではない。
 当協会は、あらためて75歳以上の医療費窓口負担2割化成立に抗議する。
以上
愛知県保険医協会
理事長 荻野高敏

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