(愛知保険医新聞2020年5月25日号)
愛知県保険医協会がFAX登録のある会員に実施した「新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急アンケート」(回答数1803件)で、3月診療分について8割の医療機関で前年同時期に比べて外来患者数が減少していることが明らかとなった。また、その減少割合は全診療科の平均で2.7割と大きく、緊急事態宣言が出された以降は影響がさらに拡大していると思われる。同アンケートでは、医療資材の不足や医院経営への不安の声が多数寄せられており、地域医療を第一線で支える医療機関を守るために早急な対策が必要だ。
アンケートに寄せられたコメントでは、73%の医療機関が何らかの医療資材が不足しているとしており状況は深刻だ。現在でも不足が続いていることから、国や県の責任で確保するとともに全ての医療機関に安定的に供給することは喫緊の課題である。
アンケートでは医院経営について開業間もない医療機関などを中心に収入減少で経営が立ち行かなくなることへ不安の声が上がっている。医療機関が診療に専念できるようにするために収入の減少や損失に対する補償をすることが必要だ。補償にあたっては、現在ある制度の拡充も重要である。休業時の事業継続と雇用維持を目的にした「雇用調整助成金」はその手続きの煩雑さと支給額の低さから、4月27日現在、愛知県で15件の支給に留まっており早急に見直しをする必要がある。
協会では、「新型コロナウイルス感染対策に関わる緊急要望」として医療資材の安定供給、医療機関への補償に加え、PCR検査体制の拡充、発熱外来など体制の確保、保健所の体制強化などを求める緊急要望を国・県に対して行っている。国に対しては、「雇用調整助成金」の支給上限額の大幅な引き上げ、手続きの簡素化・迅速化、助成率をすべての事業者で10/10とすることを求める要望や、経済立て直しのために生業保障・生活保障で国民生活を下支えするとともに消費税率を引き下げることを求める要望も行っている。
協会では、今後も会員の要望を集め、国や県などに届けていくこととしており、5月15日には、4月の状況を把握するためにFAX登録のある正会員に「新型コロナウイルス感染拡大の影響に関する緊急アンケート」を送付した。要望や意見があれば協会までお寄せいただきたい。