軍事に頼らない平和を求めて――池内了氏が講演
「核戦争に反対する医師の会・愛知」は7月20日(土)午後に協会伏見会議室で37周年記念講演会を開催した。「『軍事に頼らない平和』を求めて―軍拡パラドックスと積極的非暴力平和主義―」をテーマに池内了氏(名古屋大学名誉教授、宇宙物理学者、世界平和アピール7人委員会委員)が講演し、109人が参加した。
池内氏は、世界は戦争が無くなる方向に進んでいる一方で、日本は軍事予算を増やし軍拡に走っているが、武力ではなく対話や交渉、説得、調停、援助、協力、ディール(配分)が必要で、お互いが納得するまで時間をかけることが大切だと述べた。さらに武力(軍事基地や軍需工場など)は最初の攻撃目標となり、武力で平和は守れないが、政治的・社会的・経済的に世界と繋がり、文化、芸術、建築があふれた町は平和を作り出すことができると話した。
また非戦・軍縮の歴史をたどりながら、科学者が軍事動員されてきたことを振り返り、科学者と軍事研究や科学・技術のデュアルユースについて触れた。
科学・技術が軍事化しないためには、“平和構築のために軍事力が必要”という論にだまされてはいけないこと、社会が反戦的雰囲気に満ちていることが必要だと述べた。また科学・技術の付き合い方として、①疑問が解決されるまで手を出さないなど予防措置原則の考え方を基本とする、②社会的弱者・少数者・被害者の立場を想像する、③未来世代に何を残そうとしているかを考える――など、新しい科学・技術・医療倫理が必要だと話した。
総会で2019年活動方針など確認
2019年度総会には13人が参加し、ヒバクシャ国際署名や被爆者支援、福島原発事故避難者への相談活動への協力などの取り組みが報告された。
今年度は、2020年のNPT再検討会議を前にして核兵器禁止条約の発効が期待される中であり、ヒバクシャ国際署名の取り組みをより進めていくことなどを確認した。