核兵器禁止条約が世界を変える―川崎哲氏が講演
「核戦争に反対する医師の会・愛知」は7月17日(土)の午後、協会伏見会議室で39周年記念講演会をオンラインで開催した。
2017年にノーベル平和賞を受賞した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)国際運営委員の川崎哲(あきら)氏を講師に招き、「そこが聞きたい 核兵器禁止条約の効力」をテーマに講演した。現地に27人、WEBでは29カ所の参加があった。
以下川崎氏の講演の要点を紹介する。
社会を動かす規範の強化
核兵器禁止条約は2017年7月に国連で122カ国の賛成で採択され、2020年10月に批准国が50カ国に達したことで2021年1月に発効した。条約の第一条で核兵器を作ること・持つこと・持ち込むこと・使うことを禁止し、これらに協力することも含め、「いかなる場合も」禁止していることが重要である。
一方で、条約には実効性がないと言う声がある。しかし、「核兵器は絶対悪」であると規範が強化されたことは社会的・政治的に大きな影響を及ぼす。核兵器製造企業に対する世界の金融機関による投融資が見直され、日本でも17銀行、4つの生命保険会社が核製造企業への投融資を行わないと表明している。歴史を見れば、奴隷制やアパルトヘイト、ハラスメントの禁止、女性参政権の獲得など、社会的規範が強化され社会は変わってきた。社会は変わるし変えられると伝えたい。
核抑止ではなく、安全保障の考え方の転換を
日本は核抑止論の立場に立ち、核の傘で守られているように言うが、核抑止論とは核兵器を使うことを前提にしている。核兵器が本当に世界の安全保障の役に立っているのかよく考えるべきだ。コロナ禍でも莫大な費用が核兵器に使われている。国際的には気候危機や新興感染症への対応こそが優先すべき安全保障であり、安全保障の考え方の変換が必要だ。
総会で2021年活動方針など確認
2021年度総会には10人が参加した。今年は核兵器禁止条約が発効した年であり、「日本政府に核兵器禁止条約に署名・批准することを求める署名」や核兵器製造企業に対する世界の金融機関による投資について調査し発表する運動「Don’t Bank on the Bomb」に取り組むことなど、活動方針を確認した。代表に中川武夫氏、事務局長に坂本龍雄氏、事務局次長に土井敏彦・橋本政宏氏の新体制を確認した。