協会は指導に係わる2017年度の実施状況と2018年度の予定などについて、東海北陸厚生局に対して文書・資料の開示請求を行い、回答を得た。歯科に関する内容をあらためて紹介する。医科を含む詳細については、7月5日号以降の本紙でまとめているので参照されたい。
個別指導の件数は66件で前年度並み
2017年度における歯科医療機関に対する個別指導の実施件数(新規個別指導を除く)は66件で、2016年度より1件の増加で前年度並みとなった。選定理由別に見ると、「情報提供」7件、「再指導」13件、「高点数」43件(表1)。「高点数」による個別指導は、2016年度に前年度14件からほぼ2倍の26件となったが、2017年度はさらに1.6倍に増加した。一方、「再指導」によるものは、2016年度31件から半減している。
個別指導の結果については、「概ね妥当」が1件、「経過観察」49件、「再指導」16件となり、「中断中」、「要監査」は該当なしとなった(表2)。
新規指定保険医療機関に対する個別指導(新規個別指導)は92件の実施で、「概ね妥当」48件、「経過観察」41件、「再指導」が3件あった。
前年度から減少したとはいえ、新規個別指導の「再指導」は通常の個別指導と同様の扱いとなり、対象カルテ数の増加など負担も大きくなる。協会では安易に「再指導」とせず、教育的な指導を行うよう改善を求めている。歯科医療機関においても保険診療についての理解を深め、カルテ記載の学習や書類の整理・保管について留意する必要がある。
個別指導の相談は保険医協会へ
2018年度の指導実施計画によると、個別指導は149件が予定されている。選定理由別にみると、「情報提供」によるものが8件、「再指導」によるものが18件、「高点数」を理由とするものは122件となっている(表1)。
高点数による個別指導の対象となる122の医療機関の平均点数は、2,505点から1,538点。一番高い医療機関の平均点数は、昨年度から480点程度下がった。個別指導は「情報提供」、「再指導」によるものが優先的に実施され、「高点数」は後回しになることも多い。昨年度の個別指導も予定より大幅に少なかったが、今年度、東海北陸厚生局は「できるだけ計画通り実施したい」としている。
集団的個別指導は、平均点数(今年度は1,177点)の1.2倍を超え、かつ上位8%に該当する歯科医療機関が対象となる。対象医療機関数は216医療機関、平均点数は1,412.4点となっている。なお、自院の平均点数については、昨年度から東海北陸厚生局指導監査課に照会が可能となった。電話で保険医療機関名や保険医療機関コードなど必要事項を告げると、折り返しの電話で回答してもらえる。
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個別指導や集団的個別指導などについて、通知が届いて不安なことがあれば、迷わず協会に相談していただきたい。電話などでの相談のほか、「カルテ記載を中心とした指導対策テキスト」などの販売も行っている。ぜひ活用を。