歯科診療報酬改定情報(3)

1月15日に中医協へ諮問、パブコメを募集

実質マイナス改定うがい薬単独処方の保険外しも

 今次診療報酬改定は、消費税増税の補填分を除いた通常改定分で、実質1.26%のマイナス改定となる。歯科本体の改定率はプラス0.99%であるが、消費税補填分(0.87%)を除くとわずか0.12%であり、前回のプラス1.7%の改定と比較しても厳しい改定が予想されている。
 また12月25日の中医協では、厚労大臣と財務大臣で合意された「うがい薬のみの処方を保険適用から除外する」との内容が報告された。歯科では抜歯・切開後や歯周病の処置・手術後等など創面の保護や感染対策などでうがい薬を処方することがあり、保団連では「うがい薬の保険外し」の撤回を求め、要請書を厚労大臣や中医協会長に送った。

在宅医療点数、有床義歯評価体系見直しなど改定骨子を示す

 1月15日には厚労大臣から中医協に諮問がされ、これまでの議論を整理した「現時点での骨子」(※)の報告があり、翌日から1月24日までパブコメの募集が行われた。
 「骨子」の内容をみると、在宅医療については、在宅を中心に訪問歯科診療を行っている歯科診療所の評価、同一日に複数の患者に行う歯科訪問診療料2の引き下げ、現在初・再診料で算定する歯科訪問診療が二十分未満の場合の評価体系の見直しを行うとしている。また医科歯科連携にかかわって、医科の在宅療養支援診療所(病院)から在宅療養支援歯科診療所への情報提供、周術期口腔機能管理が必要な患者を歯科標榜のない医科医療機関から歯科医療機関への情報提供等を医科診療報酬で評価するとしている。
 歯科医療の推進では、各ライフステージの口腔機能の変化に着目した内容として、小児期における第一乳臼歯の早期喪失症例に対する小児保隙装置、外傷による歯の欠損症例に対する小児義歯を評価する。成人期では舌接触補助床等を用いた訓練の評価、歯周治療用装置の算定要件の見直し、有床義歯については、義歯管理料と有床義歯調整管理料の体系を見直し、口腔機能の維持・向上に着目し評価する内容となっている。また歯の喪失のリスク増加に伴う対応としては、歯周病安定期治療(SPT)を一口腔単位から歯数単位の評価に見直し、在宅等で療養する高齢者の初期根面う蝕に対するフッ化物歯面塗布を評価する。根管治療は実態に合わせて適正評価(算定回数制限)を行うとしている。
 その他、再診時の歯科外来診療環境体制加算の引き上げ、消費税増税への対応として歯科初診料は16点、再診料は3点引き上げられる方向である。

先進医療2技術が保険導入へ

 1月22日の中医協では、先進医療会議と医療技術評価分科会から、今回の診療報酬改定で保険収載する医療技術に関する検討結果が報告され、先進医療からは8技術が保険導入されることが了承された。歯科では、平成19年4月から先進医療として適用されている「X線CT画像診断に基づく手術用顕微鏡を用いた歯根端切除手術」と、平成21年5月から適用されている「歯科用CAD・CAMシステムを用いたハイブリッドレジンによる歯冠修復」の2技術が保険導入される。
 また先進医療以外の医療技術では、クラウンループ保隙装置(日本小児歯科学会)や在宅高齢患者の歯根面う蝕へのフッ化物応用処置(日本口腔衛生学会)、コンビネーション鉤(日本補綴歯科補綴学会)など、新規技術の評価と既存技術の再評価を合わせ11技術が了承された。

※以下、平成26年度診療報酬改定の骨子(1月15日中医協資料より抜粋)

【在宅医療を担う医療機関の確保と質の高い在宅医療の推進について】

・在宅を中心に訪問歯科診療を実施している歯科診療所の評価
・在支診または在支病の医師の診察に基づく、訪問歯科診療が必要な患者に対する在宅療養支援歯科診療所への情報提供の評価
・歯科訪問診療が20分未満であった場合の歯科訪問診療の評価体系を見直すとともに、同一建物において同一日に複数の患者に対して歯科訪問診療を行った場合等について、歯科訪問診療料を適正化

【医療機関相互の連携や医療・介護の連携の評価について】

・周術期における口腔機能管理が必要な患者に対して、歯科を標榜していない医科医療機関から歯科医療機関への情報提供を評価するとともに、歯科医師による周術期の口腔機能管理後に手術を実施した場合の手技料の評価等

【歯科医療の推進について】

・歯科診療特別対応連携加算の施設基準の見直し
・第一乳臼歯の早期喪失症例に対する小児保隙装置を評価するとともに、外傷歯による歯の欠損症例に対する小児義歯を評価
・舌接触補助床等の装置を用いた訓練を評価するとともに、歯周治療用装置については、歯周外科手術が前提となっている要件を見直し
・有床義歯の評価について、評価体系の簡素化や評価の位置づけの見直しを行うとともに、口腔機能管理等に係る文書提供等については患者の視点と事務負担を考慮して適切に行う
・歯周病安定期治療の評価体系を一口腔単位か歯数単位に見直す
・在宅等で療養を行っている者の初期根面う蝕に対するフッ化物歯面塗布を評価
・根管治療について、治療の実態に合わせて適切に評価を行う

【患者に対する医療安全対策等の推進】

・患者にとって、安全で安心できる歯科医療を提供できる総合的な環境整備を行うために必要な施設基準を満たした歯科医療機関における再診を評価

【消費税率8%への引上げに伴う対応】

・歯科診療報酬では、初・再診料に上乗せする

ページ
トップ