歯科診療報酬改定情報(4)
今年4月の診療報酬改定の改定率が、12月21日、財務大臣、厚生労働大臣の大臣折衝で決定した。
診療報酬改定全体では、プラス0.004%と実質の据え置き、診療報酬本体は全体でプラス1.38%、そのうち歯科はプラス1.70%となった。
支払側・診療側が改定への意見を発表――中医協
12月21日に開催された中医協総会では、診療側・支払側双方から、診療報酬改定に関する意見が出された。それぞれの意見に対する検討は、今後行われる。
支払側は、診療報酬全体について、引き上げは国民の理解が得られないとして、必要度の高い医療を重点的に評価し財源を効率的かつ効果的に配分すべきと主張している。歯科診療報酬については、歯科外来診療環境体制加算について財政中立を前提にそのあり方を見直すこと、同一施設等における複数患者への歯科訪問診療を行った場合の算定要件の見直し、難解な歯科用語の見直しなどが具体的意見としてあげられている。支払側の意見は、診療報酬全体の引き上げを行わない前提で組み立てられているため、全体を通して「財政中立」や「適正化」などの言葉が目立つ。
診療側からは初・再診料の引き上げや包括の見直しも
診療側からは医科・歯科・調剤に分けて意見が出されており、歯科については、基本方針として、以下の6点があげられた。(1)安定かつ持続的な歯科医療の提供と、安心かつ安全な診療体制を確保するための費用等の評価を踏まえた初・再診料の段階的な引き上げを行うこと、(2)介護保険との同時改定の観点から、高齢者・要介護者等に対する歯科医療について、その充実と推進を図るための体系上の所要の見直しを行うこと、(3)全世代にわたる重症化予防と生活の質(QOL)の向上に資する技術の評価及び医学管理の位置付けと評価のあり方に対し検討を行うこと、(4)基本診療料等に過度に包括されるなど、適切に評価されていない手技、材料、薬剤に対する評価の見直しを行うこと、(5)これまでの改定後の歯科医療費の変化が推計と大きく乖離している事例が散見されることから、確保された改定財源の配分時に十分な検討を行うこと、(6)その他必要な事項について検討し、見直して充実を図ること。
具体的検討事項では、歯科医療の充実のための歯科技術料の適切な評価、在宅歯科医療の推進と適切な評価、新規技術等に関連した歯科医療の充実、患者の視点に立った適切な歯科医療提供の推進、障害者への歯科医療の充実とその推進に向けた評価などがあげられている。
基本方針の中には、初・再診料の引き上げや、包括の見直しなどが盛り込まれており、今後の中医協の議論で、診療側がこの主張をどの程度反映させることができるのか注目される。一方で、具体的検討事項としてあげられている項目には、これらの要求は含まれておらず、多くは既に中医協に提出されている歯科診療報酬改定の考え方に沿ったものとなっている。1月以降は診療報酬改定について、より具体的な検討が行われる予定であることから、保団連・保険医協会としてもその動きを注視するとともに、国会、厚労省に対してより良い歯科医療の実現にむけた積極的な働きかけを行っていく。