歯科診療報酬改定情報(2)

歯科診療報酬改定情報(2)

 11月11日に開催された中医協総会では、在宅歯科診療について議論が行われた。在宅歯科は、次回診療報酬改定の基本方針を策定する社会保障審議会・医療保険部会でも、「重点的に取り組む課題」として上げられ、歯科医療全般とは別に項目がたてられている。
 最初に事務局(厚労省保険局医療課)から、改定に向けた論点整理が行われ、今後の方向性として、(1)「歯科訪問診療料」の評価体系を見直すべきか、また対象者の要件についてどのように考えるか、(2)一度に複数の患者に対して行う訪問歯科診療の評価についてどのように考えるか、(3)在宅歯科医療における医療機関・介護の連携に関する評価についてどのように考えるか、(4)「在宅療養支援歯科診療所」についてどのように考えるか、(5)訪問歯科診療を行う際の歯科衛生士の補助に関する評価が考えられるか――の5点があげられた。具体的な改定内容についてはまだ示されていないが、これまでの議論の経過から、歯科訪問診療料の「常時寝たきり等」との算定要件や歯科衛生士の同行の評価などについて検討が行われる可能性が高い。
 診療側の堀委員(日歯常務理事)は、これまでの在宅歯科医療について、推進しようとすると、効率化を重点にした大規模な診療形態をとる事業所などが出てきてブレーキをかけることの繰り返しだったと述べ、そのような場合には、診療報酬によって規制するのではなく、指導・監査機能の発揮が必要だとした。
 保険医協会・保団連は、次期改定に向けた要求として、在宅歯科医療では往診料の復活や訪問診療料の時間要件の撤廃などを厚労省に申し入れている。

医療経済実態調査の概要

 11月2日の中医協総会には、医療経済実態調査の概要が報告された。調査では、従前から行われている単月の比較調査(09年6月分と11年6月分の比較)だけでなく、通年の比較調査(98年4月~10年3月と10年4月~11年3月の比較)も行われた。
 損益差額は単月調査では11年6月分が09年6月分を下回る結果であったが、通年調査では09年度を10年度が上回る結果となった。一方、保険診療収益については、単月調査を12倍したものが通年調査を上回る結果であった。これは、「6月は1年の中でも診療報酬請求額の多い月であるため、改定率の根拠とするには不十分」との保団連の指摘を裏付けるものであった。

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