歯科労災診療の留意点1(2022年6月5日号)

指定医と非指定医

労働保険に加入している事業所で発生した業務上の傷病(業務災害)、通勤による災害(通勤災害)は、健康保険の給付の対象とはならず、労働者災害補償保険法の対象となる。
通常の保険診療とは請求方法が異なるため、歯科における労災診療の取り扱いについて4回にわたって解説する。

労災診療の取り扱い

 労災診療は労災指定医療機関での診療が原則だが、指定医療機関でなくても労災保険の患者を診療することはできる。業務上の災害かどうかが不明な場合は、所轄の労働基準監督署に確認をする。
 労災指定医となるには愛知労働局(連絡先別記)に指定申請書を提出して、指定を受ける必要がある。労災指定を受ければ、労災診療費は現物給付となり、患者から窓口負担を徴収する必要がない。指定を受けていない場合は、治療費の全額を窓口で徴収し、患者自身が支払った医療費を労働基準監督署に請求する療養費払いとなる。

指定医の場合

 指定医の場合は患者が持参する「療養の給付請求書」(様式第5号)(通勤災害の場合は様式第16号の2)に治療費を記載する。患者が用紙を持参しなかった場合、患者へ事業所に申し出て持参するよう促す。
 労災の治療費は保険点数ではなく、労災診療費の範囲で請求する。請求先は歯科医療機関が労災指定医協会に加入している場合は指定医協会に、加入していない場合は直接愛知労働局に請求する。

非指定医の場合

 非指定医の場合は自由診療となるが、患者には労災診療費の範囲で給付されるため、その範囲での請求が望ましい。
 非指定医の場合は「療養の費用請求書」(様式第7号)の「医師又は歯科医師の証明」欄に内容を記載し、診療明細は「労災療養費明細書(歯科)」に記入して添付する。請求はこれらの書類を患者が事業所へ提出する。「労災療養費明細書(歯科)」も原則、患者が持参するか、持参しない場合は労働局医療係から取り寄せる。金属価格改定などがあった場合、新しい明細書が作成されるので、その都度新しい明細書が必要となる。

問い合わせ先:愛知労働局労働基準部労災補償課医療係
TEL:052-855-2148

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