(愛知保険医新聞2021年12月5日号)
国民の命と健康を守る医師・歯科医師の立場から、医療社会保障改善の要求が反映された市民と野党の共通政策を国民に浸透させる。
診療報酬改善と患者負担軽減の運動は不可分
国民皆保険制度を支える医療機関の経営と活動を保障するのは国の責務である。2020年度医療経済実態調査でも病院の実態は赤字、医科歯科診療所とも2019年度より悪化である。歯科低医療費政策に新型コロナと金パラ逆ざやが重なり深刻な経営危機が続いている。10%以上の診療報酬大幅引き上げを求める。
成立した75歳以上窓口負担二割化法を実施させないために、実質据え置きなどを目指す。厚労白書も述べるように、日本は高齢化の割には社会保障給付水準は相対的に低い。自己負担を減らすことが必要である。
消費税減税・ゼロ税率で暮らしと医療を立て直す
2020年度税収は、経済が落ち込んだにもかかわらず60兆円と過去最高になった。それは消費増税の結果である。とうとう基幹三税の主役が所得税から消費税に置き換わった。所得再分配機能が働かなくなっている。賃金削減、ワーキングプア1,000万人超えで、経済成長が30年間止まったままである。
九条改憲を許さない運動が社会保障を厚くする
総選挙の結果、新自由主義と改憲は新局面に入った。岸田首相が「やる気を示そう」と前のめりなのは改憲である。軍事費GDP2%まで増額を目指し、敵基地攻撃能力保有を議論する、とアクセルを踏んだ。自民党は憲法改正「実現」本部と改名した。
大砲とバターは両立しない。財界・財務省からの更なる社会保障負担増が目白押しである。コロナ第六波への備えは病床使用率の「見える化」強要だけで医療機関への減収補填はなく、コロナ感染特例加算すら打ち切られた。
9,200人会員と新自由主義・改憲からの真の転換を目指して
愛知協会を一層大きくすること、市民と野党の共通政策を草の根で広めることが求められている。原点は安保法制廃止、立憲主義回復であるが、今回は医療費削減からの転換、エッセンシャルワーカーの待遇改善なども入った。若者のど真ん中の課題である格差と貧困の是正、ジェンダー平等、地球環境を守ることもある。野党共闘の威力は、59の小選挙区で競り勝ち大いに発揮された。初めてやってみたから課題が見つかった。次にすることはそれを前面に出して広め、深めることである。