2022年2月18日

国民健康保険

国民健康保険

要請項目~国保の改善について(抜粋)~
1.保険料(税)の引き上げを行わず、払える保険料(税)に引き下げてください。そのために、一般会計からの法定外繰入額を増やしてください。
2.18歳までの子どもは、子育て支援の観点から均等割の対象とせず、当面、一般会計による減免制度を実施してください。
3.資格証明書の発行は止めてください。保険料(税)を継続して分納している世帯には正規の保険証を交付してください。また、医療を受ける必要が生じ、短期保険証に切り替える際には、医師の診断書など条件をつけることなく交付してください。
4.70歳未満を含む74歳までの高額療養費の支給申請手続を簡素化し、申請は初回のみとしてください。

保険料の引き下げ、法定外繰入
国は、国保運営方針に「保険料水準の統一」と「法定外繰入の解消(努力義務)」を明記させる「国民健康保険法の一部改正案」を2021年6月4日に成立させた。これに対して、全国市長会・全国町村会が、「地方分権の趣旨に反する」「国が一方的に論議を押し付けることは受け入れられない」と批判し、全国知事会も社会保障審議会医療保険部会で、「具体化にあたっては、地方との十分な論議が必要で、強制すべきでない」と意見をあげている。
国保料(税)の所得に占める割合は10.0%にもなり、協会けんぽ7.5%、健保組合5.8%と比べて極めて高い額となっている(2018年度全国平均)。国保加入者の大半は非正規雇用・低所得の労働者や年金生活者が占めており、耐えがたい高額負担を強いられている。
愛知県の第2期国保運営方針は、保険料(税)について「被保険者に過度な負担が生じないよう適切な配慮」を行うとしており、統一保険料も「保険料(税)が急激に上昇しないよう、被保険者への影響を考慮しながら統一化の議論を深め、段階的に検討を進める」との記述に留めている。2021年11月の県国保運営協議会では、統一保険料化につながる医療費指数反映係数の設定は「α=1」で昨年度から変更がなく、引き続き、市町村が賦課・徴収を行うことを前提としている(医療費指数反映係数は「α=0」に設定した場合、県内の保険料を全市町村で同額にすることとなる。一方、「α=1」に設定した場合は、各市町村ごとに医療費支給額に応じて保険料を算定することとなる)。
また、県が提示する標準保険料も参考程度のものとなっており、算定方式(所得割・均等割・平等割)も市町村へ押し付けていない。
市町村が保険料(税)の独自減免などを行うことに対しても制限は加えないことを含め、県に対してはこれまでの方針を継続・拡充するよう求めたい。
県内54市町村のうち2020年度より保険料を引き上げたのは15市町村(28%)、引き下げたのは39市町村(72%)だった。また、一般会計からの法定外繰入を増やしたのは26市町村(48%)、減らしたのは20市町村(37%)だった。約半数の自治体が独自繰入を維持・増加させ保険料(税)を引き下げる努力を行っていることが分かった。
県内で一人あたりの保険料が一番高いのは、南知多町11万9,697円、二番目が東郷町10万6,805円となっており、加入者の負担は大きい。
国は、自治体が独自に行う国保への一般会計の繰入について、赤字の補填を目的としたもの(決算補てん目的のもの)については、国の補助金を減額するペナルティーを設けている。この補助金減額の仕組み自体、大きな問題であり、一刻も早く撤廃すべきだ。あわせて、自治体が条例を通じて行う被災者、子ども、生活困窮者などの国保料の独自減免に充てる法定外繰入金は「決算補てん目的」とはならず、ペナルティーの対象外であることから、決算補てん目的以外の法定外繰入を活用した取り組みが重要である。
 

18歳未満の保険料減免
協会けんぽや各種共済組合などでは、扶養家族が増えても保険料は増えない。しかし、国保では生まれたばかりの赤ちゃんにも均等割として保険料が賦課される。様々な少子化対策が行われているなかで、その対策に逆行する制度で、国保でも子どもができても保険料が増えない制度が求められている。国の制度改革で「子どもの被保険者が多い自治体への支援」を目的に「特別調整交付金」が作られ、「18歳までの均等割3割減免」が広がっている。県内では一宮市・大府市・田原市が均等割の3割減免、設楽町が均等割の5割減免を実施している。さらに稲沢市が2022年4月から18歳までの均等割5割減免を実施する。
厚労省は、2022年度から未就学児の均等割保険料を半額にする法改正を行った。引き続き18歳までへの対象拡大と全額免除を国に求めるとともに、市町村に対し国の制度に上乗せする独自減免を求めたい。
 

資格証明書・短期保険証の交付
2021年6月1日現在の愛知県内の国保加入世帯93万2,850世帯のうち9万9,625世帯(10.7%)が保険料(税)を滞納し、短期保険証や資格証明書が発行されている。政府は、コロナ感染症対策として資格証明書発行世帯に対して短期保険証を発行するか、資格証明書でも正規の保険証と見なして取り扱う措置を講じた。
これを受けて名古屋市も、すべての資格証明書発行世帯に短期保険証を発行したが、2020年10月以降はコロナ感染症にかかわらず、資格証明書発行をしない対応をしているのは大きな成果である。
県内で資格証明書を発行している自治体は、2021年6月1日現在九市町(17%)まで減少した。正規の保険証で安心して受診できるよう改善を求めたい。
 

70~74歳の高額療養費申請簡素化
国が70歳から74歳について2度目以降の申請を不要とする高額療養費の支給手続簡素化を通知(2017年3月)したことを受けて、高額療養費の支給申請を「簡素化」したのは34市町村(63%)で、2020年の23市町村から11市町村増加、「検討中」も16市町村(30%)あり、さらなる改善が期待できる。
さらに、厚労省は2021年3月、市町村判断で70歳未満も簡素化できるよう国保法施行規則を改正した。これを受けて、2021年自治体キャラバンでは高額療養費の支給申請を「簡素化」した自治体を把握したが、6市町村(11%)にとどまった。検討中が39市町村(72%)で、多くの市町村は判断を決めかねている状況にある。高額療養費申請簡素化は、市町村に毎月申請するという被保険者の負担軽減や、市町村の事務負担軽減、郵送費削減のメリットがあり、全市町村に74歳以下の簡素化を求めたい。

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