今回は、前回に続き歯援診の施設基準の主なポイントと、施設基準届出の経過措置等について協会事務局で編集して掲載する。
歯援診の施設基準のポイント
(1)今回の改定で、歯援診は「歯援診1」と「歯援診2」の2つに区分された
(2)すでに歯援診の届出を行っている歯科医療機関(※)については、2020年3月31日までは、「歯援診2」の施設基準を満たしているとみなされる。ただし、それ以降も歯援診を継続するためには、2020年3月31日までに、「歯援診1」または「歯援診2」の届出を行う必要がある
(3)これまでの施設基準要件であった歯科衛生士の配置、当該担当医名や診療可能日などの文書提供、後方支援医療機関との連携については変更がない
(4)施設基準の要件である研修内容「高齢者の心身の特性」に、「認知症に関する内容」を含むこととなった。すでに受講している研修要件の一部を満たしている場合は、不足する要件を受講することで差しつかえない
(5)過去1年間の実績が問われる項目
※「歯援診1」はア)、イ)、ウ)を、「歯援診2」はア)、イ)を満たす必要がある
ア)歯科訪問診療の実績
・「歯援診1」、「歯援診2」ともに、在宅医療を担う他の保険医療機関、訪問看護ステーション、地域包括支援センター、居宅介護支援事業所、または介護保険施設等からの依頼による歯科訪問診療の実績が5回以上
イ)必須算定項目
・「歯援診1」の場合は、歯科訪問診療1と歯科訪問診療2の合計が15回以上
・「歯援診2」の場合は、歯科訪問診療1と歯科訪問診療2の合計が10回以上
ウ)下記のいずれか1つ以上の算定
・NST1、またはNST2の算定がある
・訪問口腔リハ、または小児訪問口腔リハの算定がある
・退院時共同指導料1、退院前在宅療養指導管理料、在宅患者連携指導料、または在宅患者緊急時等カンファレンス料の算定がある
(6)「歯援診1」は、以下のいずれかに該当する必要がある
ア)当該地域において、地域ケア会議、在宅医療・介護に関するサービス担当者会議または病院・介護保険施設等で実施される多職種連携に係る会議へ年1回以上出席している
イ)病院・介護保険施設等の職員への口腔管理に関する技術的助言や研修等の実施または口腔管理への協力をしている
ウ)歯科訪問診療に関する他の歯科医療機関との連携実績がある
※「『届出を行っている診療所』とは、(2018年)3月31日までに届出を受け付けたものをいい、…経過措置に該当するものであること」との事務通知が、厚労省から各厚生局宛てに発出された。
施設基準届出の経過措置等の一覧
1.名称が変更となったが、新たに届出の必要がない施設基準
・歯科治療総合医療管理料(Ⅰ)(医管(Ⅰ)) → 歯科疾患管理料への総合医療管理加算
・歯科治療総合医療管理料(Ⅱ)(医管(Ⅱ)) → 歯科治療時医療管理料
・在宅患者歯科治療総合医療管理料(Ⅰ)(在歯管(Ⅰ)) → 歯科疾患在宅療養管理料への在宅総合医療管理加算
・在宅患者歯科治療総合医療管理料(Ⅱ)(在歯管(Ⅱ)) → 在宅患者歯科治療時医療管理料
・有床義歯咀嚼機能検査 → 有床義歯咀嚼機能検査1(イ、ロとも)
2.2020年3月31日までは要件を満たしているとみなされる施設基準
・かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)
※ただし、2018年9月30日までに院内感染対策の施設基準を届け出なければ、10月1日以降、基本診療料は減算される。
・在宅療養支援歯科診療所
※「歯援診2」の施設基準を満たしているものとみなされる。「歯援診1」を希望する場合は、新たに届出を行う必要がある。
3.新たな届出が必要だが、2018年9月30日までは届出に猶予が設けられている施設基準
・基本診療料への院内感染防止対策
※未届の場合は、10月1日以降、基本診療料、歯科訪問診療料が減算される。ただし、研修の受講については、2019年3月31日まで猶予されている。
・歯科外来診療環境体制加算
※10月1日以降も算定する場合は、9月30日までに基本診療料への院内感染対策の施設基準を届け出た上で、再度、外来環1の届出を行う必要がある。
4.すでに届出を行っている場合でも、新たな届出が必要な施設基準
・在宅療養支援歯科診療所1
・外来後発医薬品使用体制加算1・2・3(3は新設)
5.今次改定で新設され、算定には新たな届出が必要な施設基準(上記4を除く)
・有床義歯内面適合法への歯科技工加算1・2
・咀嚼能力検査
・咬合圧検査
・精密触覚機能検査
・口腔粘膜処置
・口腔粘膜血管腫凝固術
・レーザー機器加算1・2・3
6.歯科衛生士・歯科技工士の常勤配置要件を、常勤換算でも可能とする施設基準
・歯科疾患管理料への総合医療管理加算
・歯科疾患在宅療養管理料への在宅総合医療管理加算
・歯科治療時医療管理料
・在宅患者歯科治療時医療管理料
・有床義歯修理および有床義歯内面適合法への歯科技工加算1・2