3月4日に診療報酬改定にかかわる官報告示と通知の発出がされ、厚労省の技官会議が開かれた。点数算定に関する通知や、施設基準の届出、特定保険医療材料料(歯科材料)の算定にかかわる通知などから明らかとなった内容や、今まで紙面で報告していない改定内容について紹介する。
施設基準の届出など注意が必要
新設された「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」の施設基準は、告示では既報の7項目が示されているが、施設基準の通知では11項目の要件が挙げられており、外来環と歯援診の両方の要件がほぼ網羅されたものとなっている。なお、新たに設けられた施設基準や、新たに要件が加えられ届出が必要な場合は、4月14日までに届出を行えば4月1日にさかのぼって算定が認められる。
在宅歯科医療では、在宅患者の割合が95%以上の専門医療機関は、新たに追加された要件も含め歯援診の施設基準を満たして届出を行わなければ、2017年4月以降は歯科訪問診療料1、2、3の算定はできず、歯科初・再診料に相当する点数の算定となる。また、在宅歯科医療専門ではなく、現在は歯援診の届出を行っていない医療機関の場合も、在宅患者の割合が95%未満である旨の届出を行わないと、来年4月以降は歯科初・再診料に相当する点数の算定となる。来年3月までの1年間で対応することとなるが、いずれにしても2年後の介護報酬との同時改定に向けて、歯科診療所の機能分化の流れが強まっている。
通知により算定要件など細かな変更や明示も
歯科疾患管理料フッ化物洗口指導加算とフッ化物歯面塗布処置にかかわる「う蝕多発傾向者」について、5歳~7歳の永久歯の萌出歯がある場合は、従来の「乳歯3歯以上及び永久歯1歯以上」から「乳歯3歯以上又は永久歯1歯以上」と緩和がされている。
新設された歯冠補綴時色調採得検査は、レジン前装金属冠・硬質レジンジャケット冠の製作の際に、隣接歯と台帳見本を同時にカラー写真で撮影する方法で行う。両側の隣在歯がレジン前装金属冠の場合など、隣在歯が色調比較可能な天然歯ではない場合は算定できない。
1口腔単位から1装置単位の算定となる補綴時診断料では、ブリッジ・義歯の新製の場合は90点、義歯追歯修理・床裏装の場合は70点であるが、70点算定後に再度追歯修理を行う場合、3カ月以内は70点の算定ができないこととさされている。
また、硬質レジンジャケット冠とCAD/CAM冠について、歯科用金属を原因とする金属アレルギーを有する患者で、医科からの診療情報提供に基づく場合は大臼歯まで適用が拡大されるが、その場合はクラウン・ブリッジ維持管理料の対象としないことが示されている。
さらに、義歯新製後に再度義歯を新製する場合の「6カ月」の期間について、前回義歯製作の際の印象から、新たに製作する義歯の印象までの期間であることが通知で明示された。
特定保険医療材料では、全体的に金合金、金パラ、ファイバーポストの材料点数は上がり、銀合金、硬質レジンジャケット冠の歯科用光重合硬質レジン、CAD/CAM冠用材料、熱可塑性樹脂有床義歯などの点数は下がっている。
以上は改定内容のごく一部である。協会・保団連では、今後告示・通知や技官会議などの情報を集め、理解しやすい改定テキストを作成し、3月下旬に会員に送付する。すでにお送りした新点数説明会の案内ハガキをご確認いただき、テキストとともに、説明会に持参いただきたい。