9月17日(土)、「あいち医師・歯科医師九条の会」は32回目の憲法のつどいを協会伏見会議室で開き、27人が参加した。
講師には飯島滋明氏(名古屋学院大学教授、憲法学・平和学)を迎え、「改憲をめぐる動きにどう対抗するか」のテーマで講演した。
飯島氏は、6月までの通常国会で、衆議院の憲法審査会がほぼ毎週の16回開かれ、緊急事態条項で自維国3党間でほぼ一致という状況にあり、第9条改憲についてもウクライナ情勢に便乗して自公維国4党が公然と主張。また、国会議員の任期延長では前述4党が一致する事態にあると指摘。「十分な議論尽くした」と改憲4党が主張して国民投票に踏み切る可能性もあると述べた。
飯島氏は、自民党の改憲4項目のうち「緊急事態条項」は、戦争や自然災害などの際に、権力者が憲法を守らずに自由に行動することを認めるもので、権力者は憲法を守らなければならないという立憲主義の考え方に真っ向から反すると述べた。また、緊急事態条項に基づき、医師や看護師など医療従事者は徴用されること、徴兵制導入で民間人も戦地派兵の危険性があること、財産権(憲法29条)も土地・建物を取り上げられることによって脅かされること、自由な言動も規制・弾圧される対象となるなど、首相等に無制限の権限を認める危険性を指摘した。医療従事者の徴用は、すでに朝鮮戦争や湾岸戦争時に米軍の要請で日本の医療従事者が派遣された実績があり、日本の軍隊が派兵された場合も医療従事者の戦地派遣を可能にするのが緊急事態条項だと述べた。
国民投票に関しては、国民主権の見地から肯定的な意見もあるとした上で、ナポレオンやヒトラーの独裁を支えたのは国民投票であり、権力者に都合のよいときにしか実施されないことを考えれば、国民投票で結果を否決するという単純なことではない、と注意を促した。
憲法を守ろうという私たちの課題としては、国民投票法(改憲手続き法)には、投票率の規定がないことやCMやインターネットにはデマ規制もないなど問題があること、外国資本への規制がないなど、これらの問題点を指摘し公正に投票が行われるよう求める運動も必要とした。
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つどいでは愛知民医連の、みなと医療生協九条の会(港区)と尾張健友会(一宮市)の両法人から取り組みの報告があった。
みなと医療生協九条の会の嶋倉和也氏は、2004年に発足以来の同会の活動を紹介し、学習・交流活動を重視し、キャンドルパレードや月2回の病院前朝宣伝行動、医療生協の健康フェスタでの活動などを紹介した。
尾張健友会の中尾忍氏は、700人の職員に配布するニュースは今年2月から半年足らずで12回発行し、各職場での読み合わせや、平和部署宣言やマグネットステッカー作成などの取り組みが展開されたこと、寄せられた疑問に答えるQ&Aや解説をニュースで提供するなどの工夫もしていることを紹介した。
2022年10月16日