2024年10月17日

民主主義の根幹を揺るがす国会議員任期延長改憲問題

あいち医師・歯科医師九条の会がつどい

九月二十八日(土)、「あいち医師・歯科医師九条の会」は第三十六回目の憲法のつどいを協会伏見会議室で開催し、二十九人が参加した。
講師には大江京子氏(弁護士・改憲問題対策法律家六団体連絡会事務局長)を迎え、「どうなる憲法、どうする憲法~国会議員任期延長改憲の問題点」をテーマに講演した。
大江氏は国会議員の任期延長改憲が浮上した背景には、憲法九条改憲や緊急事態条項改憲について自民党や公明党、維新の会、国民民主党、有志の会の改憲派による議論が錯綜し足並みが揃っていないことから、まず「取りまとめやすい改憲」として改憲派内で異論が出ていない、緊急事態における国会議員の任期延長を認める改憲を狙っているためだと述べた。

論破される改憲派の主張
改憲派は国会議員任期延長改憲については、「衆議院の解散後や国会議員の任期満了前後に戦争やテロ、大地震などの緊急事態により、適正な選挙実施が広範囲で長期間に渡り困難な場合、憲法が定める参議院の緊急集会等では緊急事態に対応できない。そのため、内閣の判断で半年または一年(再延長も可)、国会議員の任期延長を可能とする必要性がある」と主張し、国会の維持機能を「大義名分」にしていると説明した。
大江氏は改憲派が論拠として主張した項目は全て、現憲法で十分に対応することが可能であり、改憲の根拠となる主張は二〇二三年の通常国会で完全に論破されていると述べた。

任期延長改憲は 国民主権の侵害
大江氏は議員の任期延長とは、国会議員から見た言い方で、国民の側から見た場合、選挙が行われず国民の選挙権が停止されることを意味している。選挙権は、憲法の基本原理の一つである国民主権と密接に結びついており、これまでの最高裁の判例では、「国民の選挙権又はその行使を制限することは原則として許されない」、「国会は(中略)国民の選挙権を剥奪し制限する裁量をほとんど有していない」として、国会に対して選挙権を最大限保障するように義務づけていると指摘。内閣が国民の選挙権を不当に制限し、国民主権を侵害する任期延長改憲は憲法上許されない改憲案だと解説した。

「戦争する国づくり」のための改憲
任期延長改憲条文案には「外部からの武力攻撃、(中略)これらに匹敵する緊急事態により」と書かれており、改憲されれば日本国憲法に初めて「戦争」が書き込まれることなる。これにより九条改憲や緊急事態条項改憲を呼び込む「導入口」になる危険性があり、任期延長改憲を阻止するためにも市民や各団体などによる平和を求める運動がより一層重要になるとした。

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