医師・歯科医師九条の会がつどい
4月12日(土)、「あいち医師・歯科医師九条の会」は37回目の憲法のつどいを協会伏見会議室で開き、34人が参加した。
講師には長峯信彦氏(愛知大学法学部教授)を迎え、「改憲論のトリックと大軍拡政治の虚構~将来(現役)世代にツケ回しする異常な財政・金融政策の末路」のテーマで講演した。
長峯氏は、最初に日本の軍事費が激増していることに触れ、政府の計画通り、2027年まで軍事費の拡大を続ければ、2022年に世界9位だった軍事費が3位にまで上昇すると紹介。一方、ジェンダーギャップ指数が毎年120位前後であることなどを見ると、人権・平等に関しては世界のなかでも下位に位置していると指摘し、日本がどういう国になっているのか、国民は重く受け止める必要があると述べた。
また、軍事費の拡大については、それを正当化する立場から「日本が攻められたらどうするのか?」との問いがたびたび出されることについて、戦争や軍事衝突は、地震のように偶然的自然現象ではないことから、抽象的で架空の問いでは意味がない。日本政府が本気でミサイル攻撃を心配しているのであれば、原発の再稼働など絶対に許されないはずである。日本政府が日本海側の原発を次々と再稼働しているのはミサイル攻撃がないと確信しているからだと述べた。
また、市川文一陸上自衛隊武器学校元学校長の「ミサイルが一斉に日本に発射されるという事態(飽和攻撃)になったら日本は全く対処できない」という発言を紹介。軍事の専門家ですら、日本の防衛装備が本当の国防になっていないと証言しているとして、ミサイルを撃たせないような環境を作るにはどうしたらいいかを考える方が、現実的だと語った。
さらに、軍拡の原資として赤字国債が乱発されている問題点にも言及し、膨大な借金が将来世代に負担としてのしかかると指摘した。
講師は最後に、戦争や軍事行動は国家権力の発動なしにはあり得ないもので、憲法九条は世界に先駆けてそれを厳しく禁止してきた。憲法九条こそが日本全体を戦争から遠ざけ、私たち日本の市民に対する世界の信頼と安心を醸成させた最大の功労者。今、未来に引き継ぐべきは日本国憲法と第九条だと述べた。