2018年9月17日

原水爆禁止2018年世界大会

核兵器の非人道性訴え「核兵器のない世界」へ

協会は、「核戦争は健康と環境に対する最大の破壊であり、核戦争の予防に力を尽くすことが、患者の命の健康を守る医師の役割」であるとして、核兵器廃絶の運動に取り組んでいる。その一環として、毎年広島・長崎で開かれる原水爆禁止世界大会へ代表を派遣している。
今年も「核兵器のない平和で公正な世界のために」をテーマに原水爆禁止2018年世界大会国際会議が8月2日~4日、広島大会が8月4日~6日、長崎大会が8月8日~9日に、それぞれ開催された。協会からは、国際会議に坂本龍雄勤務医委員、広島大会に早川純午、土井敏彦各理事、坂本勤務医委員、事務局3人を派遣した。

核兵器禁止条約は8月末現在、60カ国が署名、14カ国が批准している。発効には50カ国の批准が必要となり各国でも手続きが進む中、日本政府は反対する姿勢を崩していない。被爆者をはじめ非核平和を求める人々は、日本は唯一の被爆国としてその役割を果たすべきと、批判を強めている。核兵器禁止条約の採択から一年が経過した今大会は、条約を推進する勢力と反対する勢力とがせめぎ合う現状で、「核兵器のない世界」の実現へ向けて市民社会と諸国政府の連携、そして国際的共同を進めるための重要な大会となった。

4日の広島大会開会総会には、23カ国から98人の海外代表を含め、5千人が参加した。小田川義和議長が、核兵器禁止条約と米朝首脳会談は「核兵器のない世界」実現の大きなチャンスを予測させ、「国内外の逆流を押し返す力は、市民社会の共同した不屈のたたかい以外ありません」と国民運動の必要性を訴え、開会宣言とした。また、四日午前の国際会議で採択された「国際会議宣言」が読み上げられたが、「若い世代とともに」という言葉が盛り込まれ、被爆を知らない世代へ語り継ぎ、核廃絶の声を大きくする重要性も強調した。被爆者からは藤森俊希氏が、「世界には、核兵器をなくす知恵を持つ人がいます。地球を破壊する核兵器にしがみつく人もいます。どちらが人々を生かすか。被爆者は、みなさんとともに核兵器のない世界へ全力をつくします」と述べた。また、国内外の参加団体から、ヒバクシャ国際署名や平和行進など核廃絶にむけた取り組みのアピール・訴えがあった。

5日はフォーラム、分科会などが行われ、非核平和に向けた取り組みや被爆体験などを学習・交流した。「映像のひろば」の分科会では、アメリカの核兵器に関するドキュメンタリー映画「アトミック・カフェ」、広島の原爆投下を取り上げた有原誠治監督のアニメーション映画「つるにのって」が上映され、参加者からは「映像は世代を超えて伝えられる。もっと身近にしていけるとよい」との感想があった。

6日の閉会総会には、6千人が参加した。政府代表のカルロス・アルマーダ駐日メキシコ大使は、原爆が20万人以上の被害を出したこと、いまだに1万5千発以上の核兵器が存在していることにふれ、「核兵器とその開発は世界の人々のリスク」とし、繰り返してはならないと発言した。被爆証言として、山田玲子氏が被爆当時の状況を語り、「核兵器禁止条約が一日も早く実効性あるものとなるように」と発言し、箕牧智之氏は被爆者の平均年齢が82歳を超えたことから、核兵器を使ったらどうなるか想像し、若い人たちにその怖さを知ってほしいと訴えた。

決議では、最初に直近の豪雨災害のお悔やみ、お見舞いを述べ、被爆国にふさわしい政府をつくりだすことをよびかけた。そして、「ヒバクシャ国際署名」の運動を地域ぐるみで発展させ、アメリカの「核の傘下」からの離脱、核兵器禁止条約の批准、被爆の実相・核兵器の非人道性の周知、「オール沖縄」のたたかいとの連帯、原発から自然エネルギーへの転換などを日本政府に求めていくことが採択され、幕を閉じた。

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