2024年9月19日

原水爆禁止2024年世界大会(広島)に参加

被爆80年に向けていまこそ核兵器廃絶へ

協会は、「核戦争は健康と環境に対する最大の破壊であり、核戦争の予防に力を尽くすことが、患者の命と健康を守る医師の役割」であるとして、核兵器廃絶の運動に取り組んでいる。その一環として、毎年広島・長崎で開かれる原水爆禁止世界大会へ代表を派遣している。

「被爆者とともに、核兵器のない平和で公正な世界を―人類と地球の未来のために」をテーマに原水爆禁止2024年世界大会の国際会議が8月3日~4日、広島大会が8月4日~6日、長崎大会が8月8日~9日に、それぞれ開催された。協会からは、広島大会に早川純午副理事長、坂本龍雄理事、事務局三人を派遣した。
ロシアによるウクライナ侵略や核威嚇が続くなか、米国は5月の米上院歳出委員会国防小委員会で広島・長崎への原爆投下が「戦争終結につながった」と発言し、7月には日米で安全保障協議委員会(2プラス2)が開かれ、「核抑止力」論に基づく日米軍事連携が確認されている。
一方で、核兵器禁止条約の署名国は93カ国、締約国は70カ国(2024年1月現在)となっており、来年には被爆80年を控える今大会は、核兵器廃絶を願う市民社会の運動を総結集し、各国の政府との共同をさらに発展させるための重要な大会となった。
4日の広島大会開会総会では、18カ国から78人の海外代表を含め、約3200人(うちオンライン視聴は800人以上)が参加した。
主催者報告では冨田宏治氏(国際会議宣言起草委員長)が、ロシアの核威嚇をはじめ、米国の核先制使用の政策、NATO諸国の核兵器配備といった「核抑止力」の強化を求める声があるが、来年は被爆80年であり、被爆者は「いまこそ核兵器廃絶を」と立ち上がっており、核兵器禁止条約を力に核兵器に固執する勢力を追い詰め、核兵器廃絶の展望を切り開いていこうと述べた。
被爆者挨拶では田中煕巳氏(日本原水爆被害者団体協議会代表委員)が、13歳で被爆した体験を語り、「内閣は米国の軍事力に頼り、『核抑止力』論という実のない理論にすがり軍事予算や装備の増大強化をやめ、核兵器禁止条約にただちに参加し核戦争の危機を避ける先頭にたつべき」と述べた。また、国内外の参加者・団体から平和行進などの取り組み・アピール・訴えが行われた。
5日は、フォーラム、分科会などが行われ、核兵器廃絶に向けた取り組みや被爆体験の継承など交流・学習した。
6日の閉会総会では、国連の中満泉軍縮担当上級代表らがビデオメッセージを寄せた。中満氏は「軍拡競争は世界情勢の不安定さを生み出します。軍縮・軍備管理・不拡散こそが真の安全保障への道」だとして「核保有国に核兵器廃絶に向けた営みの遂行を求め続ける皆様の行動を期待する」と語った。
決議では、「核兵器は、いかなる状況においても決して使用されてはなりません。核兵器禁止条約を力に、草の根の運動と市民社会を大きく発展させ、危機を乗り越えていくべき」と強調。「核抑止力」論から脱却し、核兵器禁止条約への署名・批准、被爆の実相・核兵器の非人道性の周知、軍事費削減とくらし・福祉・教育の拡充などを日本政府に求めていくことが採択され、幕を閉じた。

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