7月31日をもって後期高齢者医療と、多くの自治体での国民健康保険の有効期限満了を迎えた。
今後はマイナ保険証によるオンライン資格確認(以下、オン資確認)を行えない場合は、資格確認書などによる資格確認が必要となるが、患者の手元には資格確認書以外にも被保険者証に「類似」する書面が届いている。マイナ保険証でオン資確認を行えなかった場合の対応をまとめたので、資格の確認やレセ提出の参考にされたい。
マイナ保険証によりオン資確認ができないケースとは、停電、機材トラブル、オン資確認の結果「資格(無効)」「資格情報なし」と表示される場合、電子証明書の期限切れ、などが想定されている。
〔保険資格の確認方法と患者自己負担徴収額〕
マイナ保険証でオン資確認ができない場合や、患者がマイナ保険証を持参せず「類似」する書面のみを持参する場合が想定され、そのような場面での資格確認方法と患者自己負担額の徴収については以下の通りとなる。〈表1〉にまとめたので参照のこと。
①マイナ保険証のみ持参した場合
患者がマイナ保険証のみ持参し、オン資確認ができなかった場合は、患者本人のスマートフォンなどによりマイナポータルへアクセスして確認を行う。
マイナポータルへのアクセスができない場合、初診患者であれば「被保険者資格申立書」を記載してもらい、記載内容に従って自己負担分を決定・徴収する。
再診患者の場合は、過去の受診歴などを確認して、変更していない旨を口頭確認すれば過去の負担割合で自己負担分を徴収すればよい。
②期限切れの保険証、「資格情報のお知らせ」(国保・後期高齢者、またはそれ以外の保険者)を持参した場合
国保・後期高齢者の患者がマイナ保険証とともに期限切れの保険証や「資格情報のお知らせ」を持参した場合や、当該書面は持参したがマイナ保険証を持参しなかった場合で、当該書面に記載された被保険者等記号・番号を入力してオン資確認ができれば、初診、再診にかかわらず自己負担分のみ徴収する。マイナ保険証を持参せず当該書面のみ持参しオン資確認ができずマイナポータルで確認できる場合も同様の方法で、自己負担分を徴収する。いずれの取扱いも2026年3月末まで。
いずれの方法でも資格確認ができなかった場合には前述の「マイナ保険証のみ持参」と同様、初診は「被保険者資格申立書」、再診は口頭確認などに基づき自己負担分を徴収する。
国保・後期高齢者以外の患者がマイナ保険証と「資格情報のお知らせ」を持参した場合も同様に取扱う(マイナ保険証を持参しなかった場合は④を参照)。
③資格確認書を提示した場合、有効な保険証を提示した場合
いずれの場合も券面情報で資格を確認し自己負担分を徴収する。なお、保険証の有効期限は、保険者によって異なるので注意が必要となる。後期高齢者は、7月31日で期限切れとなっている。国保は、自治体によって異なるが、名古屋市をはじめ愛知県内の多くの自治体では7月31日で期限切れとなっている。
協会けんぽや共済組合、国保組合などは保険者によって異なる。既存の加入者は12月1日までとなるが、2024年12月2日以降に資格取得した被保険者にはすでに資格確認書が配布されている。
④国保・後期高齢者以外の保険者が発行する「資格情報のお知らせ」のみ提示した場合
患者がマイナ保険証を持参せず、国保・後期高齢者以外の保険者が発行した「資格情報のお知らせ」のみを提示した場合は、保険証の代替にはならず、窓口で十割を徴収することとなる。
〔レセプトの請求方法と摘要欄記載など〕
マイナ保険証でオン資確認ができない場合、患者が持参する「類似」の書面などで資格確認を行う。その場合の請求方法については以下の通りとなる。〈表2〉を参照のこと。
■被保険者資格申立書提示の場合
被保険者資格申立書を提示した場合は「不詳による請求」により請求する。保険者番号には「7」を八桁記載する。被保険者等記号・番号には、記号は記載せず、番号は後期高齢者は「7」を八桁、それ以外は「7」を九桁記載する。摘要欄には先頭に「不詳」と記載して、その下段には被保険者資格申立書に記載されたカナ氏名、保険種別、保険者等の名称、事業所名、患者の住所・連絡先、患者連絡の日付を記載する。紙レセの場合は、レセ用紙上部欄外に「不詳」と朱書きする。
■保険証を提示したが「資格(無効)」などの表示となった場合
保険証によるオン資確認を行ったが「資格(無効)」画面に喪失済みの資格が表示された場合などは、摘要欄に「旧資格情報である旨」を記載し通常請求を行う。喪失済みの資格に基づきレセプト請求をした場合でも、医療費の審査支払の時点で新たな保険者等からデータ登録されていれば、医療機関に返戻されることなく、新たな保険者へ請求を自動的に振り替える。ただし、公費併用請求等はレセプト自動振替ができないので返戻される場合があり、その場合は「不詳請求」で再請求する。審査支払機関で特定できなかった場合は、各保険者等で按分して支払われる。

〔医療機関に事務負担を押しつけるやり方に抗議・要請〕
厚生労働省は、これまで多くの事務連絡や疑義解釈などを発出し、患者の不利益にならないよう対策を講じているとアピールしているが、詰まるところ、そのしわ寄せは医療機関に押しつけられ、多大な事務負担を担うこととなっている。
一方的なマイナ保険証の推進により、医療現場に混乱と、患者とのトラブルの種を持ち込む厚労省に対し、協会は抗議・要請書を送付した。