2023年9月4日

反核医師の会・愛知 41周年記念講演会

平和を創る人になろう ~再び戦争する国にさせないために
映画監督・三上智恵氏講演

三上智恵氏

「核戦争に反対する医師の会・愛知」は7月15日(土)午後、41周年記念講演会を協会伏見会議室で開催した。映画監督の三上智恵氏を招き、「再び戦争する国にさせないために~今、沖縄で起こっていること」をテーマに講演、現地に70人、WEBで45カ所の参加があった。
現在製作中のドキュメンタリー映画「沖縄、再び戦場(いくさば)へ(仮)」のために撮りためてきた取材映像をつないだスピンオフ(番外編)作品を上映。自衛隊のミサイル配備の拠点化や基地の強靱化がすすめられている沖縄を通じて見えてくる実態と、沖縄の人々のたたかいを三上氏から聞いた。(文責編集部)

軍隊は住民を守らない
今、日本中の人々がかかっている新型コロナより怖い病気がある。「強い軍隊に守られたい病」だ。中国や北朝鮮の「脅威」を伝え、「怖い」「攻めてくるんじゃないか」と思わせる報道はアクセスがかせげてお金になる。そういったニュースがよく読まれ、中国が何かやってくるという話が刷り込まれている。そうなると考えることは、安心のために米軍に守ってもらいたい、自衛隊にももっと強くなってもらいたいということだ。
しかし、沖縄戦について学んだ人は、日本の軍隊は住民を守らなかったことを知っている。日本人は一度も自国の軍隊に守られた経験がないのに、守ってもらいたい・守ってもらえると思っている。それは妄想だということに早く気がついて欲しい。

知って欲しい〝すでに戦前〟の沖縄の姿
政府は昨年末に安保三文書(国家安全保障戦略・国家防衛戦略・防衛力整備計画)を改定、専守防衛をかなぐり捨て、敵基地攻撃能力の保有を決めた。この安保三文書改定は戦後の防衛政策の大転換であり、台湾有事を念頭に中国に対抗するため、沖縄の南西諸島の要塞化が加速する危険なものである。
私は、来年春の映画上映まで待っていられない思いに駆られ、スピンオフ(取材映像)の無料上映を始めた。すでにこんなに〝戦前〟になってしまっているという本当の情報に触れ、少人数で考え・語り合って欲しいという思いからだ。


沖縄だけでなく日本全体が戦場に
どうして今、南西諸島への自衛隊の配備強化なのか。米国の対中国戦略や自衛隊と米軍が台湾有事を想定して策定した「日米共同作戦計画」がある。南西諸島を米軍の拠点とし、安保法制に基づく事態(重要影響事態・存立危機事態・武力攻撃事態)に則って自衛隊が米軍とともに戦うものだ。そうなれば住民が巻き添えで被害に遭う。
現在南西諸島での自衛隊基地の強化・要塞化は加速している。南西諸島で戦争が起これば、それは沖縄だけでなく日本全体が戦場になるということ。沖縄戦体験者の「もう沖縄は戦場だ」という声を重く受け止めるべきだ。
スピンオフの上映会がすでに約七百カ所に広がっている。戦争を止めるには、一人ひとりがブレーキを踏むしかない。平和をただ消費するのではなく、平和を創る側になりましょう。

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