被爆医師として核なき世界を展望する ―朝長万左男氏が講演
「核戦争に反対する医師の会・愛知」は、7月10日(日)の午後、協会伏見会議室で40周年記念講演会を開催した。
講師は、長崎大学名誉教授の朝長万左男氏で「被爆医師として原爆100年目の核なき世界を展望する」をテーマに講演した。現地に32人、WEBで34カ所の参加があった。
朝長氏は、2歳の時に長崎原爆で被爆した。高校生の時に若い被爆者の間で白血病が増えたことを不安に思い、医師になることを決意。以来、血液内科医として被爆者の白血病などの疾患の研究・診療を続けている。核兵器廃絶運動にも尽力しており、6月21日から23日までウィーンで開催された第1回核兵器禁止条約締約国会議にも参加している。
冒頭、朝長氏は自身が第1回締約国会議で発言した原稿を読み上げた。2歳の時の被爆体験や、放射線被爆の後遺症が生涯持続すること、原爆が世代を超えて不安感を与えていることを発言し、締約国会議の会場では爆発するような拍手が起こったと振り返った。
また、朝長氏は第1回締約国会議で採択された核なき世界へ向けて即時の行動を求める「ウィーン宣言」や「行動計画」について説明した。計画が軌道にのり、核兵器禁止条約の加盟国が増えれば、原爆100年目を迎える頃には明るい展望が見えるかもしれないとしつつ、一方で、日本の課題についても述べた。
各国の核政策を最終的に決めさせるのは国民で、日本国民は政治に決めさせる力が弱いことが今の日本の問題で、その中で核の問題を国民に啓発する医師の役割は重要。ひとり一人が日本の核政策を論じるようになれば、日本も変わっていくと話した。