より良い医療制度をめざす活動

【19.07.05】産婦健診助成・新生児聴覚検査助成

産婦健診と新生児聴覚検査の助成状況

保険医協会地域医療部は、2019年4月1日時点での「産婦健診助成事業」等の実施状況を調査し、県下全市町村にあたる54市町村から回答を得た。その結果を報告する。

産婦健診―全市町村での助成実現
「出産後一年未満に死亡した女性の死因で最多は自殺―産後うつが影響か」「産婦健診受診者の約一割に支援が必要」など、産後うつを巡る深刻な実態が報道、紹介されている。
愛知県内では、2007年頃から産婦健診への助成を行う自治体が現れたが、実施自治体は少なく、広がりを見せたのは厚労省が産後うつの防止などを目的に産婦健康診査事業を創設した2017年以降となる。
2017年4月時点での実施自治体は46市町村(85.2%)、翌年には51市町村(94.4%)まで拡大し、未実施は岡崎市・津島市・幸田町を残すのみとなっていた。この間、地域医療部では全市町村に助成創設を求める要望書を提出していたが、今年の4月までに残りの2市1町も助成事業を開始し、全ての自治体での助成が実現されることとなった。
厚労省の産婦健康診査事業の実施主体は市町村で、費用の2分の1を国が、残りを市町村が負担する。厚労省は最大2回まで市町村に助成するとしており、県内で助成対象回数を2回としている自治体は11市村(20.4%)となっている。助成対象期間は、多くの自治体で2カ月または8週間としているが、豊橋市は産後3週以内、知立市は産後1カ月頃としている。
現在、国の検討会でも妊産婦の健康管理のあり方や産婦健診の重要性が指摘されているが、課題も多い。健診でフォローが必要な母親を見つけ出し支援に繋げるには、医師だけでなく保健師や行政職など、多職種連携が欠かせない。また市町村で助成内容に差があるため、里帰り出産時に健診が受けられない事例も報告されている。
今後は、自治体で助成内容に差が出ないよう国が責任を持ち実施主体となること、県内自治体に対し健診を2回に増やすことや受診率の向上を求めると共に、多職種が連携する子育て世代包括支援センターや産後ケア事業の充実も併せて要望していく。  

新生児聴覚検査
新生児期に発見される早期療育が必要な中等度以上の両側聴覚障害の頻度は、1人/1000出生と高い。
日本産婦人科医会は「早期診断と早期介入が児の生活の質の向上に直結する」と、スクリーニング検査の必要性を指摘している。また厚労省も、「聴覚障害の影響を最小限に抑えるためにも全ての新生児を対象に新生児聴覚検査を実施することが重要」だとし、2017年度から新生児聴覚検査体制整備事業を実施。しかし2017年度、公費負担で検査費用を助成している自治体は全国で394市町村(22.6%)にとどまっている。
昨年度調査で、検査への助成を実施している県内自治体は9市町村(16.7%)と全国平均を下回っていたが、今年度は18市町村(33.3%)と倍増。県内3分の1の市町村で実施されていることがわかった。また「今年度からの実施は間に合わないが、早期に実施できるよう調整している」と回答する自治体もあり、今後も実施自治体が拡大しそうだ。
与党内でも新生児・小児期に関する難聴対策の充実を厚労相や文科相に要望しており、早期診断と介入により新生児の障害の影響を最小限に抑える必要性は広く認識されている。
今後も未実施の自治体に助成事業の創設を求めていくと共に、既に実施している自治体にも住民に対して検査の必要性の周知を図るよう訴えていく。  

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